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川崎宗則、2日間だけのメジャー昇格。
「閃きたい」男は前を向き続ける。
posted2016/07/17 08:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
「2日ってのは、過去最短かもね」
と、微妙な笑顔を浮かべる川崎宗則。いつもの快活な笑いではない。ちょっと考えた果てのような、ちょっと気が抜けた後のような。7月10日の深夜、シカゴ市内の焼き肉店でのことである。日曜日の夜遅くとあって、ほとんど貸し切り状態。そこにムネリンのよく通る声が響き渡る。
「本当はシリーズの初戦から上がる予定だったんだけど、試合に間に合う飛行機がなくて、2日目からになっちゃった」
故障者復帰に伴うマイナー降格は日常茶飯事。
今季2度目のメジャー昇格を果たしたのが7月9日。前半戦最後のパイレーツ3連戦の2戦目の日である。正式にマイナー降格が発表されたのがオールスター休みに入った同11日。たった2日での降格だった。ただし、脳震とうで7日間の特別な故障者リスト入りしていたデイビッド・ロス捕手の復帰に伴う降格だったから、予想通りと言えば予想通り。川崎に驚きはなかった。
カブスのマイナーAAA級のアイオワから敵地のピッツバーグまでは飛行機で4時間前後。車では11時間前後かかる。「距離的に間に合わないから、昇格は明日」という判断はメジャーならではだろう。
ついでに言うなら、故障者復帰に伴うマイナー降格も普通に起こること。今年でメジャー挑戦6年目のベテランにとっては、メジャーにおける日々の移動など文字通りの日常茶飯事であり、マイナー降格ですら、もはや“逆境”でも何でもないのかも知れない。