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ラグビーW杯後、ジャパンの第一歩。
スコットランドに敗戦も光明あり。

posted2016/06/20 11:50

 
ラグビーW杯後、ジャパンの第一歩。スコットランドに敗戦も光明あり。<Number Web> photograph by Kyodo News

タックルする小瀧尚弘(左)と稲垣啓太(右)。小瀧は2015-16シーズンのトップリーグ新人賞受賞者。今年からの代表参戦だ。

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Kyodo News

 昨秋のワールドカップで世界を驚かせた日本代表にとって、唯一敗れた相手がスコットランドだった。

 日本代表は初戦で、スポーツ史上最大のアップセットと呼ばれた南アフリカ撃破を果たし、3戦目には過去8強進出2度の強豪サモアを破り、ワールドカップでは2戦2敗の苦手アメリカを破り、過去最多の3勝を挙げたが、スコットランドだけには敗れた。スコットランドは初戦だったのに対し、日本は南アフリカ戦から中3日という過酷な日程が、敗戦の一因に挙げられた。

「日程が公平だったら……」

 スポーツに矛盾や不公平はつきものと分かっていても、ついそんな愚痴が口を突いて出てしまう。ラグビーワールドカップ史上、3勝をあげながら8強進出を逃す初めての国となったことも、日本のファンの無念さをかきたてた。

 そのスコットランドとの再戦が実現した。

最高メンバーのスコットランドと、苦しい編成の日本。

 スコットランドは、SHグレイグ・レイドロー主将をはじめ、ワールドカップの代表をほとんどそのまま並べた強力な布陣で来日した。来日メンバー27人の総キャップ数は700を超えた。過去、ホームユニオン(イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズの英国4協会)から来日したチームは、主力をブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズなどに取られた主力抜きの布陣で来日することが多かったが、経験値の点では、過去最高のメンバーをそろえて来日したチームと言えそうだった。

 対する日本はどうかといえば、実は苦しいメンバー編成だった。

 ワールドカップメンバーから、藤田慶和、福岡堅樹、さらに山田章仁というバックスのトライゲッター3人が、オリンピックに向けた7人制日本代表候補のために抜けていた。ワールドカップで主将を務め全試合にフル出場したリーチマイケル、正確なプレースキックと頑健なタックルでチームを支えた五郎丸歩、さらにチームを統率した司令塔のSH田中史朗は負傷で代表を外れた。

 さらに、新たに参戦したスーパーラグビー・サンウルブズの活動で、例年なら4月上旬から始動する日本代表の合宿も大幅に遅れた。4月末から5月にかけて行われたアジア選手権を戦う日本代表は、昨年のワールドカップ代表ゼロで編成された。

【次ページ】 スコットランド戦への練習は実質4日間だった。

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