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イビチャ・オシムが語るEURO2016。
「大国の勢力図は書き換えられるのか」

posted2016/05/26 11:00

 
イビチャ・オシムが語るEURO2016。「大国の勢力図は書き換えられるのか」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

イビチャ・オシム元日本代表監督がEURO2016の魅力を語ってくれました。
好評発売中のNumberPLUS「EURO 2016 欧州蹴球読本」掲載記事から全文を特別公開します!

 6月10日に開幕するEURO2016は、EURO史上最高の大会になると私は思っている。史上初となる24カ国による大会。出場国のほとんどが高いレベルで拮抗しており、その内実も、常に世界をリードしてきたサッカー大国と、近年の低迷からの復活を目指す国、過去の歴史の中に埋もれながら甦った国とさまざまであるからだ。

 まず、私が注目するのは、フランスやイングランド、ポルトガルなど、このところ国際舞台での活躍がなかった国の復活だ。これにベルギーやロシアを加えると、5カ国が(常連国以外の)優勝候補として大会に参加する。どこもモチベーションは高く、この大会で自分たちこそが主役であることを、世界に向かって印象づけたいという野心に溢れている。特にフランスとイングランドは、かつては世界のトップに立ちながら、最近は何のインパクトも与えられずにいた。彼らが新しいプラティニや、誰か別の新しい選手を見いだせるのか。

ひとつの時代が、どこに向かって収束するか。

 他方で興味深いのは、スペインがその支配を続けられるかどうかだ。スペインのサッカーは別物だ。代表に選ばれた選手の誰もが、スペイン流のコレクティブなパスサッカーを実践できる。バルセロナに端を発するそのスタイルで、スペインは近年のトレンドを作り出してきた。主軸となってきた選手たちとチームに、多少の疲弊が感じられる今、スペインはそれでも高いテンションを、大会を通して維持できるのか。ひとつの時代がどこに向かって収束するかを知るうえでも注目したい。

 また、ブラジルワールドカップで、スペインとは異なるスタイルを強く印象づけたドイツも、ベテランと若手の新陳代謝がいかになされるかを見たい。ドイツの入ったグループCは、6つのグループのなかで最も難しいと私は思っている。長い眠りの後に復活を遂げたポーランドとウクライナは、どこを相手にもサプライズを起こしうる力を持っているからだ。逆にポルトガルとオーストリア、ハンガリー、アイスランドのグループFが、最も容易であると言えそうだ。

【次ページ】 過去に忘れられた国への、高まる期待。

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