ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
いま、Jr.ヘビー級が世界的ブーム!
原点は獣神サンダー・ライガーに。
posted2016/05/18 10:40
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Essei Hara
この夏、プロレス界に世界的なジュニアヘビー級のムーブメントが起ころうとしている。
もともと日本でジュニアヘビー級といえば、'78年に藤波辰巳(当時)がニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、WWWF(現WWE)ジュニアヘビー級王者になったのをきっかけにした第1次ブームに始まり、'80年代前半は、初代タイガーマスクを中心とした第2次ブームが起こった。若き軽量級レスラーによるスピーディでアクロバチックな闘いは、常に人気をはくしてきた。
そんなジュニアのファイトスタイルは近年さらなる進化を遂げ、空中殺法は前方2回転や、後方1回転ひねりなど、体操競技さながらのものに発展。そしてYouTube世代らしく、そういったド派手で独創的な技を使う天才が世界各地から現れ、現在はまさに“四次元プロレス”と呼びたくなる、近未来的な闘いが繰り広げられている。
そして、彼らジュニア戦士たちの晴れ舞台となるビッグイベントが、今夏、立て続けに開催されるのだ。
WWEがついにジュニアヘビーのトーナメント開催。
まず、5月21日に新日本プロレスの年に一度のジュニアヘビー級実力ナンバーワン決定リーグ戦『ベスト・オブ・ザ・スーパー・ジュニア』が開幕。
さらに今年は、団体の枠を超えたジュニアヘビー級の祭典『スーパーJ-CUP』も、7年ぶりに開催されることが決定。7月20日後楽園ホールでトーナメント1回戦、8月21日有明コロシアムで2回戦、準決勝、決勝を行うこととなった。
それだけではない。世界最大のプロレス団体WWEも、7月13日から『WWEクルーザー級クラシック』の名称で、満を持してジュニアヘビー級(アメリカではクルーザー級と表記)のトーナメントを開催することを発表したのだ。
しかもこの大会は、WWE所属選手だけでなく、世界中から才能ある選手を集結させるもので、元プロレスリング・ノアのザック・セイバーJr.、ドラゴンゲートの戸澤陽の出場がすでに決定。さらに今年2月にDDTと新日本プロレスの二団体所属を解消した“ゴールデンスター”飯伏幸太の参戦も確実視されている。
このWWEのジュニアヘビー級参入は、日本にとってまさに黒船。太平洋をはさんだ、世界的なジュニアヘビー級大戦が、今まさに幕を開けようとしているのだ。