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熊本出身ゴルファーが活躍中!
今だからこそ支援のあり方を考える。

posted2016/05/08 08:00

 
熊本出身ゴルファーが活躍中!今だからこそ支援のあり方を考える。<Number Web> photograph by Kyodo News

東建ホームメイトカップ決勝1日目となる4月16日、チャリティサイン会で募金を呼びかける永野竜太郎(右)と重永亜斗夢(左)。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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 彼らはその夜のうちに、行動を起こしていたそうだ。

 4月14日。熊本県内で発生した大型地震。日本男子ツアーの東建ホームメイトカップに出場していた永野竜太郎と重永亜斗夢は、一報を受けてすぐに電話を手に取った。

 彼らは震源地から程近い土地に住む、熊本出身の選手である。

 「あしたは喪章をつけてプレーをしたい」。たちまち被災地になった地元にいる家族の安全を確認したあと、選手会長である宮里優作にそう進言するつもりだった。

 16日、ツアーと選手会は、当大会から獲得賞金の10%を各選手の任意で義援金として集めるプランを発表。場内でチャリティサイン会を実施した。

 女子選手たちにとっては、いっそう身近な出来事だった。最初の揺れが発生したのは県内で行われる予定だったKKT杯バンテリンレディスの開幕前日だった。観客・選手らの安全を考慮し、試合は中止に。

 上田桃子らはSNSを利用して積極的に情報共有に努め、その後都内でチャリティ活動を行った。大山志保は地震翌週の試合の優勝賞金1440万円を全額、原江里菜も個人的に300万円を即座に益城町に寄付した。青山加織に至っては現地で支援活動に勤しんだという。

 ひろがる支援の輪。行動のスピード感は、5年前の東日本大震災の直後とは違った。男子ツアーでは昨年9月、台風による水害の直後に、被害を受けた茨城県内で試合が行われ、当時も義援金集めの動きは迅速だった。悲しみの蓄積は教訓として生かされている。

米国男子ツアーの年間約170億円というチャリティ額。

 チャリティ活動の根付きで言えば、米国男子ツアー(PGAツアー)のそれは他国ツアーだけでなく、他のプロスポーツ団体と比べても屈指といえる。

 2015年に各大会で集まったチャリティ額は約1億6000万ドル。日本円にすると約170億円である(レギュラーツアーのほか、シニアや下部ツアー、カナダ、中国、南アメリカなどPGAツアーが管轄する団体を含めた額)。わずか1試合で800万ドル(約8億8000万円)以上を集めたレギュラーツアーのトーナメントが6試合あった。対して日本の男女ツアーは東日本大震災後の2011年、'12年は1年で2億円前後を寄付したが、ここ最近は年間数千万円といった額で推移している。

【次ページ】 米ゴルフ界のチャリティに学ぶべき点。

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