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レースでコンマ1秒を縮める壮絶な作業。
ピットマンの闘いを知っているか?

posted2016/03/31 16:00

 
レースでコンマ1秒を縮める壮絶な作業。ピットマンの闘いを知っているか?<Number Web> photograph by TOYOTA

ドライバー同様、危険と隣り合わせのピットマンの作業。一流のチームには一流のピットマンが必ずいる。

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大串信

大串信Makoto Ogushi

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TOYOTA

 モータースポーツは、一般にスタートからフィニッシュまで一気に走りきるスプリントレースと、ピットストップを挟んで長時間続く耐久レースに分類される。

 スプリントレースの場合、いったんスタートすると、勝負の行方はコンマ1秒を追求して疾走するコース上のレーシングドライバーに託される。

 一方、耐久レースの場合、ピットストップでかかるタイムもレースのタイムにはそのまま加算されるため、コース上でのパフォーマンス同様、ピット作業も勝敗を左右する重要な要素となる。つまりピットストップは、レースを続けるための「休憩・補給」どころか、「闘い」の一部なのである。

 華やかなレーシングシーンの陰で、彼らピットストップを担当するピットマンたちがコンマ1秒を追求するために、自らの身体能力を鍛え、駆使していることをどれだけご存知だろうか。

 もしピット作業がコンマ5秒遅れれば、そこまで走ってきたマシンはレース復帰時には一気にコンマ5秒後退してしまう。普段の日常生活の中で、コンマ5秒など意識することもないほどの短い瞬間だが、ドライバーはコンマ1秒を縮めるために1周を費やすこともザラにある。コンマ5秒縮めるためには、5周以上かかる計算になる。ピット作業のロスタイムには、ドライバーが全力を振り絞り何周もかけて積み重ねてきた努力を一気に吹き飛ばしかねない重みがあるのだ。

ピットマンもまた、一流のアスリートである。

 レーシングドライバーは、ドライビングテクニックと体力を駆使してマシンを走らせるアスリートである。同様に、耐久レースの場合、ピットストップを担当する要員、ピットマンもまた競技に参加するアスリートなのだ。

 ピットマンは、通常はメカニックとして競技車両の整備を担当する。しかしレースが始まるやいなや、ピットストップの際にタイヤ交換や給油などを行うピットマンになる。ピットマンとして担当する作業は、基本的に「給油」と「タイヤ交換」だ。

 ピットストップがスタート後何周目に行われるかは、レースの展開次第で変わる。通常は監督が決め、無線で走行中のドライバーに指示すると共にピットストップを指示するボードが示される。その1周後に競技車両はピットに飛び込んでくる。

【次ページ】 マシンが入った瞬間から、ピットは戦場と化す!!

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