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“ブルペン嫌い”金子千尋が今年は?
例年以上の球数が示す本当の状態。

posted2016/03/09 10:50

 
“ブルペン嫌い”金子千尋が今年は?例年以上の球数が示す本当の状態。<Number Web> photograph by Kyodo News

金子千尋と故障の付き合いはプロ入り前から。だからこそ自分の体調の見極め方は熟知している。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Kyodo News

「一生のうちに投げられる球数は決まっていると思う」

 オリックスのエース・金子千尋はこう語っていたことがある。

「理想の試合は27球で終わる試合」とも言った。

 その考えのもと、金子は徐々に練習で投げる球数を減らしていった。2013年の途中からは、登板日と登板日の間にブルペンに入ることをやめ、キャッチボールの球数も極力少なく抑えるようになった。

「例えば100日あったとして、キャッチボールで1日10球多く投げたら、トータルで1000球になる。そう考えると1球でもムダにできない。その分を試合で使いたいですよね」

 その金子が、今年はここまでの段階で既に結構な球数を投げている。

考えは変わっていないが、状況が変わった。

 宮崎キャンプでも、たびたびブルペンに入った。もちろんシーズン中のブルペンとキャンプのブルペンは別物だが、2月17日に今キャンプ最多の119球を投げるなど、過去何年かに比べて球数が多いことは確かだ。それについて金子はこう答えた。

「2014年と今年を比べたら、今年の方が多いかもしれません。不安の大きい年と、少ない年がそれぞれあって、不安が少ない年の方が(キャンプでの)球数は少ないです。不安がある時の方がどうしても、『このくらい投げても大丈夫かな』という確認も含めて、投げるので。極力少なく、という考えは今も変わっていません。でも、試合では100球以上は投げることになる。だからそのための慣らしというか……。もちろんブルペンと実戦では肩の張り方は全然違うんですが、100球を投げるということを体に覚えさせる意味合いがありました。

 昔に比べれば、(球数を多く)投げなくても、ある程度のところまで持っていける自信はあります。でも、毎年自分の体の状態は違うので」

 金子は、2010年に17勝を挙げ初めて最多勝投手となり、チームが2位に躍進した'14年には、16勝、防御率1.98など輝かしい数字を残し沢村賞を獲得。球界を代表するエースとなった。

 しかしその年の11月、右肘骨棘除去手術を行なった。昨年2月17日に手術後初めてブルペン入りし、開幕には間に合うかと思われたが、復帰までの道程は行きつ戻りつで、結果的に、開幕には間に合わなかった。

【次ページ】 ブルペンで金子が「無理に」しゃべる理由。

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