野球のぼせもんBACK NUMBER
和田毅は「何でも自分で決める方」。
メジャー4年で再認識した野球理論。
posted2015/11/19 10:40
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
特別な日、自ら選んだネクタイはチームカラーの黄色だった。
「僕は大体、何でも自分で決める方なんですよ」
だからこの決断も、家族にさえ事後報告だった。
「物事を決める時は色々な感情を入れない方がいいんです。だから僕はいつも、自分で決めてから家族に相談するんです」
11月14日、ばっちりとスーツを着込んだ和田毅は、福岡市内でホークスへの“再入団”発表記者会見に臨んだ。
とても晴れやかだった。「また戻ってくることが出来て嬉しいです」。5シーズンぶりとなる古巣復帰である。
5勝に終わったアメリカでの4シーズン。
アメリカでの4年間は、「メジャーにいる時間よりもマイナーやリハビリで過ごした時間の方が長かった」。
日本ではプロ入団から5年連続2桁勝利を挙げるなど、通算107勝の実績を誇った左腕だが、'11年オフにFA権を行使してボルチモア・オリオールズと契約した翌春すぐに肘を故障し、「トミー・ジョン手術」を受けた。
オリオールズではメジャーのマウンドに立つことのないまま、'14年からはシカゴ・カブスのユニフォームを着た。同年7月に待望のメジャー初勝利。しかし、結局今年までのメジャー通算成績は21試合5勝(5敗)と平凡なもの。また、今シーズンはカブスが7年ぶりにポストシーズンに進出する快進撃を見せたことが、和田には逆風になった。
「9月、(メジャー枠40人への拡大による)コールアップで呼ばれましたが、リリーフで1試合に投げただけ。自分は期待されていない。もうこのチームに居場所はなかった」
10月に戦力外となってフリーな立場になると、ホークスから復帰の打診がすぐにあった。心が揺れた。
「去年までは『日本に帰る』なんて考えたことはなかったんです。今年が、初めてでした」