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インテルの変化で長友も完全復活!?
勝つチームをいじり続けて現在首位。
posted2015/11/19 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
インテルが、意外にしぶとい。
8位に終わった昨季の体たらくぶりから一転、3分の1を消化しようとする今季もたけなわの晩秋に、彼らはフィオレンティーナと首位の座を分け合う。
12節までの間に、最少スコアの“1-0(ウノ・ア・ゼロ)”で7勝。「醜いゲーム内容」「ダーティで見苦しい」と批判されながら、リーグ最少7失点の堅守は今や容易なことでは破れそうもない。
順位表のてっぺんにしぶとく居座り続けるインテルを、イタリアのメディアは、少し前から「Camaleonte(カメレオン)」と呼ぶようになった。周囲に合わせて体色を変化させる爬虫類に喩えたのは、インテルも戦術や先発布陣を試合ごとにクルクル変えるためだ。
勝っているチームをいじるな、とはサッカー界の金言のはずだが、指揮官マンチーニに、耳を貸す様子はない。難敵トリノを下し、首位を堅持した12節の後も、マンチーニは冷淡に言い放った。
「今のインテルは、私の求める理想のチーム像からはまだほど遠い」
選手を入れ替えながら試行錯誤を続行。
今季のインテルは開幕から5連勝を挙げ、一気に上位の一角を占めた。開幕直後の勢いが収まった後も、彼らのストロングポイントは前述した通り、リーグで最も堅牢な守備陣。一方の総得点数はわずかに12点で、下から数えた方が早い。ローマやフィオレンティーナといったライバルチームは、いずれも倍以上のゴール数を誇る攻撃力でインテルへプレッシャーを与えている。
王者ユベントスとのホームゲームを含む10月最初の3試合で、インテルは3戦連続ドローに終わった。その間、マンチーニは4-2-3-1と4-4-2を交互に使い分けながら、エースFWイカルディと守備的MFメデル、そして守護神ハンダノビッチを除くあらゆるポジションで選手を入れ替え続け、起用法の試行錯誤を重ねた。
もちろん得点力不足は指揮官にとって悩みの種の一つだが、今夏の移籍市場でマンチーニの持ち駒に加わったのは、FWペリシッチを初めとするアタッカーだけではない。中盤やDF陣にも多くの一線級プレーヤーが馳せ参じた。