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絶滅危惧種の魔球に居場所はあるか。
大家友和とナックル、最後の挑戦。

posted2015/11/03 10:30

 
絶滅危惧種の魔球に居場所はあるか。大家友和とナックル、最後の挑戦。<Number Web> photograph by Katsushi Nagao

現在39歳だが、大家友和の向上心は全く衰えていない。日本プロ野球でその姿を再び見ることはできるだろうか。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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Katsushi Nagao

 やめる覚悟なら、とっくの昔にできている。

 でもなぜか、心のどこかで気持ちが滾る。理由は分かっている。可能性を感じるからだ。今よりもっと、精度の高いナックルボールを投げられる可能性。今よりもっと、バッターをアウトに打ち取れる可能性。必要なのはチャンスだけ。それさえ、与えてくれるなら――。

 ナックルボーラーとして、日本プロ野球復帰を目指す男がいる。前例のないことだが、それを百も承知でやってる男がいる。元メジャーリーガーの大家友和である。

 大家はナックルボールを投げ始める前から、日本のプロ野球界では少し特異な存在だった。

 京都成章高校から横浜(現DeNA)ベイスターズにドラフト3位指名で入団。高卒新人としてプロ入り1年目で初勝利を挙げたものの、その後は鳴かず飛ばず。ボストン・レッドソックスの教育リーグに参加してみたところ、コーチやスカウトの目に留まってポスティング制度が成立する直前、22歳でレッドソックスとマイナー契約を交わした。

MLBで3度の二桁勝利をあげたのは大家で2人目。

 日本のプロ野球で芽が出なかった選手が渡米する。そこまでならよくある話だったが、大家は移籍1年目にマイナーリーグ2階級で15連勝を果たすなど活躍してメジャー初昇格。シーズン終盤にはメジャー初勝利まで挙げている。

 シンデレラ・ストーリーのような大家の成功は、まだまだ続いた。2000年にはマイナーで完全試合を達成。2001年の夏にトレードでモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)に移籍すると、翌2002年には先発ローテーションの一角に食い込んで13勝を挙げた。

 黒田博樹が達成するまで、メジャーで3度も二桁勝利を挙げたのは、野茂英雄と大家友和ただ2人だけだった。大家はその間、打球を前腕部に受けて複雑骨折(彼の前腕部には今も、チタン合金の補助板が埋め込まれている)をしたり、右肩の関節周を傷めたりしたりと、何度か再起不能の危機に陥りながらもその度に復活して、メジャーで通算51勝を挙げてみせた。

【次ページ】 何を投げても、バッターをアウトにできればいい。

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