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19年ぶりに中学生が日本新記録!
15歳・池江璃花子は水泳女子の希望。
posted2015/11/01 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
10月28日、競泳のワールドカップ東京大会が開幕した。
初日にあっと言わせたのは、100mバタフライに出場した中学3年生の池江璃花子だった。
池江は前半から積極的に飛ばし、前半の50mをトップで折り返す。後半もその泳ぎが鈍ることはなく、差を広げて先頭でタッチした。
タイムは57秒56。従来の記録を0秒21更新する日本新記録は、1996年のアトランタ五輪代表だった青山綾里以来、19年ぶりの中学生としての日本記録達成でもあった。しかも、世界ジュニア記録を塗り替えるものでもあった。
「こんなタイムが出せるとは思っていませんでした」
レース後は、涙ぐむ場面もあり、笑顔もあった。嬉しさがあふれていた。
池江は早くから全国大会で活躍し、中学生になってからも自由形とバタフライで結果を出し続けてきた。昨年は50m自由形で、最古の中学記録を20年ぶりに更新、ジュニアパンパシフィック選手権では100mバタフライで銅メダルを獲得するなど、期待を集める存在だった。
バタフライに加え、自由形でも日本歴代2位。
今シーズンもその期待に違わぬ活躍を見せてきた。4月の日本選手権では50mバタフライで1位となり、中学生として19年ぶりの日本選手権優勝を果たした。また、200m自由形で3位となったことで、4×200mリレーメンバーとして今夏の世界選手権の代表に選出。こちらも中学生としては14年ぶりとなる代表入りとなった。さらに5月のジャパンオープンでは、200m自由形で日本歴代2位の好記録を出している。
1年1年そのシーズンでの活躍があっての、今回の日本新記録である。順調と言ってもいい成長ぶりを見せている。
池江の特徴として、長い手足をいかした大きなストローク、波しぶきが上がることが少ない柔らかさと泳ぎの効率の良さなどがあげられてきた。練習で磨かれた部分と、才能の要素もあわさってのことだろう。いずれにしても、そうした技術面があっての順調な足取りである。