野球クロスロードBACK NUMBER
山本昌50歳、ついに引退決断の時。
「ラジコンはもちろん再開するよ」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/09/29 11:45
ドラゴンズ一筋31年の山本昌。最終登板の機会をファンも楽しみにしているはずだ。
「先発として投げられなければ、ユニフォームを脱ぐ」
表面だけを見れば、怪我がきっかけで引退を決意したと受け取られるかもしれない。山本昌自身、こんなことを言っている。
「怪我で引退するのは天命だと思っているけど、僕自身では先発として投げられなくなったら潔くユニフォームを脱ぎますよ」
今季、怪我によって2度も戦線を離脱した。山本昌にとってそれは、「先発として機能していない」に等しい判断だったのだろう。だから、最年長勝利の世界記録を目前としながらも現役にしがみつくことなく、潔くユニフォームを脱ぐ決意を固めたのではないか。
いずれにせよ、これで山本昌の32年にも及ぶ濃密な野球人生はひとつの区切りを迎えたわけだが、そうはいっても、山本昌自身の人生はまだまだ濃密な世界が待っている。
ラジコン、クワガタ、PC……再びディープな世界へ。
「本業の野球で運を使いたい」と'10年に趣味だったラジコンを封印し、ほかにもクワガタの飼育だって休止中だ。来年からは、満を持してそれらを再開することができる。
山本昌は引退後の展望について、嬉しそうにこんな妄想を描いていたものである。彼はいつだってディープな世界を求め続けるのだ。
「ラジコンはもちろん再開するよ。また世界と戦うためには練習しないとダメだけど、感覚を取り戻したら世界戦に行くから。今まで野球をたくさんやらせてもらったから、引退したらそれと同じくらいいろんなことに挑戦したいよね。興味を持っているのはパソコンなんだけど、あれって奥が深い世界じゃない。僕は多分、ハマっちゃうだろうからあえて勉強しないようにしているんだよね。でも、引退したら本格的に始めると思う。きっとディープな世界なんだろうなぁ」