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C・ロナウドはロナウドになる!?
30歳を越えて激変したスタイル。

posted2015/09/14 11:50

 
C・ロナウドはロナウドになる!?30歳を越えて激変したスタイル。<Number Web> photograph by Getty Images

今季はプレシーズンを含めるとクラブで7試合、代表チームで2試合の合計9試合で無得点が続いていたロナウド。1試合5得点はまさに“ケチャップ”並の出方ではある。

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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 週末のスペインを最も騒がせたのは、クリスティアーノ・ロナウドがエスパニョール戦で決めた1試合5得点だった。

 この節はアトレティコ対バルセロナという大一番があったが、ネイマールの華麗なフリーキックよりも、途中出場のメッシの決勝点よりも、ロナウドの5点の方がインパクトが大きかった。バルセロナの地元メディア以外は、この5得点をトップで報じている。ロナウドは4月のグラナダ戦でも5点を決めており、5カ月ぶりの5点でもあった。

 この5得点で、ロナウドはラウールが保持していたレアル・マドリーのリーガ最多得点記録(228)を更新し、231点に到達した。驚くのが、ラウールよりも347試合少なくこれを達成した点だ。

 6年前の夏、ロナウドのレアル・マドリーでの初得点をスタジアムで目にした。

 グティからの丁寧なパスを受けて決めたもので、そのときピッチには、もちろんラウールの姿もあった。まだレアル・マドリーがレアル・マドリーらしかった頃のことだ(今季第2節では、50年ぶりにカンテラ出身選手不在の先発となった)。当時は、このポルトガル人がたった6年間で、ほとんど到達不可能とさえ思えたラウールの記録を塗り替えることになるとは、想像すらできなかった。

 ここ数年のロナウドのゴール、そしてエスパニョール戦の5得点が改めて明らかにしたことがある。それが、ロナウドからウイングとしての要素がほぼ完全に消え去った、ということだ。そこには9番的ストライカーに変貌をとげたロナウドの姿がある。

ドリブル突破は減り、ゴール数が激増!?

 後方からのパスを呼び込み、ラインの裏へ抜けて決めた1点目。左からのクロスに、エリア内で体ごと倒れながら押し込んだ泥臭い強引なゴールもある。5点目はゴール前で巧みにポジションを数十センチずらし、フリーになる動きを見せた。

 パスを受ける予備動作、裏への抜け出しやそのタイミングなど、フォワードに必要なボールを呼び込む動きは年々上達している。

 一方で興味深いのが、1対1の局面でドリブルで勝負する回数、成功率が減っている点だ。ドリブルで仕掛けようとする意志は昨季も今季も希薄で、それならば周囲にパスを出し、自らはエリア内に飛び込むというように、明らかにプレーの優先順位に変化が見られる。

【次ページ】 ボールアーティストとしてのピークはマンU時代。

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