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49連勝目をあげ、改めて引退を宣言。
最後まで己を貫いたメイウェザー。

posted2015/09/14 11:30

 
49連勝目をあげ、改めて引退を宣言。最後まで己を貫いたメイウェザー。<Number Web> photograph by AFLO

ボクシング界の伝説、ロッキー・マルシアノに並ぶ49連勝で引退を宣言したフロイド・メイウェザー。今後の身の振り方が取りざたされているが、まずはその偉業を称えたい。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 引退を表明していた現役最高ボクサー、フロイド・メイウェザーが12日(日本時間13日)、ホームグラウンドのラスベガスMGMグランド・ガーデン・アリーナでWBAウェルター級暫定王者のアンドレ・ベルトに大差の判定勝ちを収めた。ヘビー級のレジェンド、ロッキー・マルシアノの持つ49戦無敗記録と肩を並べ、あらためて引退を宣言した。

“世紀の一戦”と言われ、興行記録を軒並み塗り替えて世界中から注目を浴びた5月のマニー・パッキャオ戦から一転、今回の試合は対戦相手のベルトが力不足と見なされ、ミスマッチとして各方面から叩かれた。

 パッキャオ戦では100万円出してもチケットが入手できないと言われたが、今回の入場者数は主催者発表で1万3395人。普段は客を入れている会場上方の席をつぶし、なお空席もちらほらあったという。

 日本では、試合を放映したWOWOWが恒例のプレスビューを開催した。アンダーカードを含めた試合の資料やジャッジぺーパーが入手でき、試合後に解説陣や現役のボクサー(今回はいなかった)の分析を聞けるなど、現場に行けない記者にとってはありがたいシステムなのだが、この日辰巳の放送センターを訪れた記者の数はずいぶんと少なかった。試合翌日の14日が新聞休刊日だったという事情を差し引いても、やはり対戦相手がベルトということで、注目度は低かったのである。

2011年以来のKOが期待されたが。

 試合の最大の関心は、メイウェザーが久々のKO勝利を飾れるかにあった。メイウェザーのKO勝利は、2011年のビクター・オルティス戦を最後に4年間ない。これも、ブレイクと勘違いしたオルティスのすきをついたようなKO劇で、しっかりしたKOとなると'07年のリッキー・ハットン戦までさかのぼらなければならない。

 有終の美を飾るならKO勝利で。好戦的かつ決してアゴの強くないベルトを選んだという事実に、メイウェザーの心意気が表れているのではないかと思えた。

【次ページ】 49勝26KO。マルシアノは43KOだった。

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