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外野手でオールスター出場。松井稼頭央の衰えぬ意欲。
~不惑のシーズン、冴える勝負勘~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2015/08/02 10:30

外野手でオールスター出場。松井稼頭央の衰えぬ意欲。~不惑のシーズン、冴える勝負勘~<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

過去8度の球宴はすべて遊撃手として出場。初出場の1997年に1試合4盗塁の新記録を樹立。2015年7月28日には日本通算2000本安打を達成した。

 オールスターゲームをラジオで解説するために、元ライオンズの石井貴さんが東京ドームを訪れていた。試合前のグラウンドで、かつてのチームメイトをつかまえて、冷やかしている。

「相変わらず100mくらい、平気でぶん投げるんだろうねぇ」

「いやいや、衰えましたよ。この前、スピードガンでボールのスピード計ったら、137kmしか出なかったんです」

「137ってアンタ、野手でしょ(笑)」

 今年、40歳になる松井稼頭央は今シーズンから外野にコンバート、勝負強いバッティングで存在感を示し、オールスターに監督推薦で選ばれた。セの最年長が黒田博樹なら、パの最年長はこの松井だ。9度目の出場ながら、外野手としては今年が初めての出場となる。

「外野は難しいですよ。カットプレーのときの判断とか、目を切って走る打球の追い方とか……それに三塁側のベンチからだと(守備位置の)ライトってメッチャ遠いんです。毎回の往復で疲れちゃって、正直、そんなところで体力使ってられないって感じなんです(苦笑)」

オールスターのベンチでも常に前のめりの戦闘意欲。

 第1戦は7回に代打で登場し、高木勇人の投じた3球をすべて振りにいって、ショートゴロに倒れた。第2戦は7番ライトで先発、オールスターでは初めての外野守備につく。最初の打席では黒田を相手に3球すべてをスイングし、落ちる球を捉えてのライトフライ。しかし第2打席ではPL学園の後輩、前田健太のストレートを捉えて痛烈なピッチャーライナーを放った。この打球が、前田の差し出したグラブをかすめてセンター前に転がるヒットとなり、お役御免となる。

 驚かされたのは、ベンチにいる松井がずっと身を乗り出して試合を見つめていたことだった。それがメジャースタイルだとはいえ、チームでただ一人、前のめりになって試合に入り込もうとしている姿は、馴れ合いになりがちな最近のオールスターにあって、やけに新鮮に映った。

 歳を重ねても衰えることのない勝負強さと積極性、戦闘意欲――オールスターで垣間見た松井の本能は後半戦、巻き返しを期すイーグルスの命綱でもある。チームに戻ればクリーンアップの一角を担う松井は、こう言って笑っていた。

「ホントは、4番とか5番とかを打つようなバッターじゃないんですけどね」

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