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偉大な王者・ロッシが編み出した
“接触”という名の奇想天外な戦術。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2015/07/04 10:40

偉大な王者・ロッシが編み出した“接触”という名の奇想天外な戦術。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

接触直後、グラベルに飛び出したロッシは難なくコース復帰し、今季3勝目を挙げて ランクトップを堅持した。

 6月27日、アッセンで開催された第8戦オランダGPで、ロッシとマルケスが熾烈な優勝争いを繰り広げた。

 だが、テールトゥノーズの最終ラップにふたりを待ち受けたのは、意外な形での決着だった。

 26周の戦いだった。レース中盤までは今季初のポールポジション(PP)を獲得したロッシが先行、それを予選3番手のマルケスがピタリとマークするという展開だった。

 第7戦まで4連勝中だったロレンソもこのふたりのペースにはついていけず、中盤にはロッシとマルケスの一騎打ちとなった。

 20周目、ロッシはややペースを落としてマルケスを先行させる。

 その間、マルケスの走りとマシンの状態を確認したロッシは、24周目にふたたび先行。

 そこから「すべての力を出し切った」ロッシは25周目にファステストラップを刻み、わずかにマルケスをリードしてラストラップに突入した。

最終シケインで接触、ロッシが先にチェッカーを受ける。

 ふたりの差は0.426秒。

 それまで0.1秒前後の差でフィニッシュラインを通過していたふたりにとっては、大きな差だった。

 しかし、驚異的な走りで遅れを取り戻したマルケスは、最終セクションとなる最終シケインのブレーキングでロッシのインを突く。

 しかし、ロッシがマルケスをアウト側からかぶせる形でラインがクロスし、両者は接触。

 その直後、アウト側にいたロッシはマシンを起こすと、そのままグラベルをショートカットしてコースに復帰、真っ先にチェッカーを受けた。

 接触でバランスを崩しわずかにコースアウトしたマルケスは、なんとか体勢を立て直してシケインを通過し、2位でレースを終えた。

「どっちが優勝? シケイン不通過のペナルティは?」

 そういった疑問を残しながらも、レース後のイベントはいつも通りに進行した。

 パルクフェルメでのインタビュー。そして表彰式と進み、ロッシが優勝、マルケスが2位、ロレンソが3位とチェッカーを受けた順番通りに表彰台に立った。

【次ページ】 アクシデントとして不問にはなったが……。

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