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「いつでもかかってこい!」レスラー曙、10年の充実。
~三冠王座奪回、全日の“横綱”に~ 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/06/19 10:30

5月21日、後楽園大会で全日本三冠ヘビー級王座を奪取し、事務所で戴冠会見に臨んだ曙。

5月21日、後楽園大会で全日本三冠ヘビー級王座を奪取し、事務所で戴冠会見に臨んだ曙。

 6月は「梅雨枯れ」。プロレスの興行にとっては、GWと夏休みの狭間にあって最も苦しいシーズンだ。

 この時期、全日本の命運を託されたのが元横綱・曙である。さる5月21日、東京・後楽園ホールで行なわれた三冠ヘビー級選手権試合。挑戦者・曙が王者・潮崎豪を21分29秒、新殺法のヨコヅナファイナルインパクト(両腕を固めての脳天突き落とし)でKO。1年ぶりに王座を奪回し、再び全日本マットのど真ん中に立った。

「心技体ががっちり合っている」の勝利コメント通り、怒濤の攻めだった。潮崎がブレーンバスターにくるところを逆に押し倒し、210kgの超重量でボディプレス。あとは勢いに乗ってタイトル戦とっておきの“武器”で一気に勝負をつけた。プロレスに転向してちょうど10年、とかくスタミナ面で疑問視されてきた曙だが、20分を超える試合をこなしたことはひとつの進歩の証だろう。昨年、体調不良(不整脈)でベルトを返上した無念を晴らすファイトであったことは確かだ。

 曙は、戦い終わって引き揚げる時、通路から必ずリングに向かって一礼する。私はそんな「礼に始まって礼に終わる」相撲道に通じる彼のたたずまいが好きだ。今後は王座防衛の度に、横綱土俵入りのパフォーマンスを見せてほしい。

宮原健斗、石川修司らとのド迫力対決にも期待大。

 その曙の初防衛戦が6月21日、札幌テイセンホールに決まった。挑戦者は6月4日の後楽園大会、キャプテンフォールマッチ(6人タッグ)で諏訪魔からフォールを奪った宮原健斗だ。26歳の宮原は健介オフィス出身で、ノアのマットで鍛えられてきた。186cm、102kgの体躯で全日本の次期エース候補と言われる期待株である。「横綱にひと泡吹かせる」と闘志満々だ。

 逆に新王者の曙は「誰だろうと、どんな相手でもやる」と、宮原など歯牙にもかけぬ様子。4日の後楽園大会でタッグマッチを戦った195cm、130kg、ユニオンプロレスの巨漢石川修司に対しても「いつでもかかってこい!」と挑発しており、今後はスーパーヘビー級のシングル対決も見られそうだ。

 秋山準体制になって約1年になる全日本。原点回帰ではないが、大型選手同士の激突はいいことだ。夏に吠える曙の姿を見るのが楽しみである。

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