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UFC王者が語った日本のMMAの未来。
~“サイヤ人級”最強男のアジア論~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2015/06/10 10:00

堀口を破ったジョンソン。日本人との対戦は2011年の山本“KID”徳郁に続き2人目となる。

堀口を破ったジョンソン。日本人との対戦は2011年の山本“KID”徳郁に続き2人目となる。

「日本に行ったら、食や景色を楽しめ。機会があれば、銭湯に行け」

 先日、日本に立ち寄ったUFC世界フライ級王者のデメトリアス・ジョンソンにインタビューをした際、師匠マット・ヒュームからそんなアドバイスを受けたと語った。日本のMMAの黎明期には選手として活躍。引退後も審判員として頻繁に来日したヒュームは大の日本通だ。

 ジョンソンは刺身が苦手だし、タトゥーが入っている身で銭湯へ入れないことも知っている。それでも、以前から日本には来てみたかったと喜びを隠さない。

「僕はドラゴンボールなど日本のアニメを見て育った世代。こう見えても、サイヤ人や魔人ブウについては詳しいんだ」

 師からは日本のMMAの浮き沈みについて詳しく聞いた。ただし、悲観してはいない。ジョンソンはUFCが先日初めてフィリピン大会を行なったことを引き合いに出してアジア論を語った。

「今秋には韓国でも初めてUFCが行なわれる。アジア進出が本格的に動き出すことで日本のMMAも再興するだろう」

「アジアは軽量級の人材の宝庫。未知の世界だよ」

 続けてジョンソンは、もうひとつのアジアの特異性を述べた。

「アメリカと比べると、アジアの人たちの方がMMAに対して勉強熱心。前者は一発KOを楽しみにするタイプが多いけど、後者は格闘技の本質を知ろうとする傾向が強いと思う」

 UFCで4戦全勝の堀口恭司を破ったことで好敵手不在も囁かれるが、それは時の流れが解決してくれると信じている。

「いま28歳なので、あと10年くらいは現役で頑張ろうと思う。その間にどういう挑戦者が出てくるかわからないよ。それにアジアは軽量級の人材の宝庫。これから先は未知の世界が広がっている」

 堀口戦でV6に成功した強さの原動力は後半になっても少しも落ちないスタミナ。いったいどんな練習をしているのか。

「バスケ、フットボール、レスリング、陸上。小さい頃からとにかく肺活量を鍛える運動をやり続けたせいだろうね。堀口戦では強さ以前にどちらの方がフィジカル的に優れていたのか。その差が如実に現れたと思う」

 早口で聡明なドラゴンボール世代の王者は、近いうちに師とともに再来日して、不思議なムードに満ち溢れた六本木の街を闊歩したいと願っている。

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