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リリーフ転向へ、斎藤佑樹が決めた覚悟。
~クローザーの醍醐味とプライド~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byNanae Suzuki

posted2015/05/25 10:00

リリーフ転向へ、斎藤佑樹が決めた覚悟。~クローザーの醍醐味とプライド~<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

5月4日のライオンズとの二軍戦では9回に登板、打者3人をわずか5球で仕留めた斎藤。

 5月4日、鎌ケ谷で行なわれたイースタン・リーグのライオンズ戦で、ファイターズの斎藤佑樹は先発を務める予定だった。しかし試合前、栗山英樹監督から二軍の首脳陣に「今日から佑樹をリリーフで起用してくれ」と連絡が入った。そんな栗山監督の意向を伝え聞いた斎藤は、ブルペン待機を受け入れた。

 じつは栗山監督はその半月前、斎藤にリリーフをやらないかと持ちかけている。一軍で2度目の先発を務め、4回途中でKOされた4月17日、イーグルス戦の試合後のことだ。しかし斎藤はそのとき、首を縦に振ることはできなかった。

「やっぱり長年、先発としてやってきたプライドがあったんだと思います。でもその夜、仙台で中嶋(聡、バッテリーコーチ兼捕手)さんと食事をしたとき、『リリーフもいいんじゃないか』という話をしていただきました。その話を聞いてから、今までこだわってきた先発のプライドって何だろうと考え始めたんです」

「どの球種でもストライクゾーンの中で勝負できる」

 中嶋は「短いイニングなら100パーセントの力で腕を振れるから、お前の持ち味を発揮できるはずだ」と斎藤に話した。いいときの斎藤の腕の振りはバッターのタイミングをずらせると中嶋は考えていたのだ。その日から斎藤はリリーフとしての自分のピッチングをイメージするようになっていた。もともと彼は肩ができるのが早い。気持ちのスイッチを入れるのも苦手ではない。もしかしたらリリーフは合っているんじゃないか――そう考えるようになっていた矢先、栗山監督の決意に触れた。だから彼はその場で覚悟を決めることができたのである。

 斎藤は二軍でクローザーを任されることになった。そのポジションは彼に今まで感じることのなかった醍醐味を味わわせてくれているのだという。

「チームの勝ちを消しちゃいけないという責任感から、ものすごくアドレナリンが出てくるんです。すぐにギアが入るし、腕が振れているせいか、体重も前に乗ってくる。だからどの球種でもストライクゾーンの中で勝負できる感じがします」

 一軍でリリーフとして結果を残せば先発に戻すと栗山監督は言った。ただ、先発でなければ保てないプライドなど、どこにも存在しなかった。未知の可能性に誰よりもワクワクしているのは、腹を括った今の斎藤自身なのかもしれない。

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