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瞬時に解析データを表示。スタットキャストとは何か。
~MLBで進むハイテク化への賛否~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2015/05/20 10:00

瞬時に解析データを表示。スタットキャストとは何か。~MLBで進むハイテク化への賛否~<Number Web> photograph by MLB.com

 映像機器の進歩に伴う「インスタント・リプレー」や、セイバーメトリクスなどのデータ分析に続き、メジャー球界が、また新たなハイテク事業に着手した。このほど大リーグ専門チャンネル「MLBネットワーク」が、「スタットキャスト」という専門分野を設立。最新のテクノロジーを駆使して、グラウンド上でのプレーを、瞬時にして細かく数値化する試みを始めた。

 これまではオールスターなどのイベントや、同局の特別番組などで実験的に行われてきたが、4月21日の「ナショナルズ-カージナルス戦」から本格的にスタートし、今後は定期的に放映することになった。今回のプロジェクトは、アウト・セーフなどの判定ではなく、各プレーのデータ解析を最大のセールスポイントとしており、いわば「ベースボール・サイエンス」のような新分野ともいえる。

身体能力や本塁打の距離……数値化の波は進むのか?

 たとえば、投手の場合、これまでの球速だけでなく、マウンド上のプレートからリリースポイントの距離を計測し、打者の「体感速度」をはじき出すことが可能となった。盗塁の場合、ベースからの離塁距離、トップスピードなどから塁間の到達速度を秒速コンマ以下の単位で算出。外野守備でも、野手のスピード、走るコースなどからカバー範囲を数値化するなど、各選手の身体能力にスポットを当てるデータが特徴とされている。

 実際、4月17日の「レイズ-ヤンキース戦」では、A・ロドリゲスが放った左中間最深部への本塁打の距離を、映像で分析。直後に、レイズ広報部が「471フィート(約144m)」と発表し、今シーズンのMLBでの、最長本塁打として認定された。このほか、複数球団がドラフト候補生のデータ分析として利用するなど、球界のハイテク化はとどまることがない。

 その一方で、警鐘を鳴らす声も少なくない。かつてカージナルスなどで監督を務め、現在、ダイヤモンドバックスの編成最高責任者を務めるトニー・ラルーサ氏は、「そこ(データ)に浸ってしまうことが大きな問題」と、数字に傾倒しがちな風潮に批判的な姿勢を隠さない。

 近年流行の極端な守備隊形「シフト」も、選手には賛否両論。プレーするのは生身の選手だけに、データもハイテクも、肝心なのは使い方ではないだろうか。

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