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M・ハービー復活にみる「スロー・リハビリ」のすすめ。
~トミー・ジョン手術後のプロセス~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2015/05/24 10:30

2012年のメジャーデビュー戦で11奪三振を記録。最速160kmの直球とスライダーを駆使する。

2012年のメジャーデビュー戦で11奪三振を記録。最速160kmの直球とスライダーを駆使する。

 約18カ月間のブランクを感じさせない復活劇だった。2013年10月に「トミー・ジョン」と呼ばれる靱帯移植手術を受けたメッツの快速右腕マット・ハービーが、鮮やかに復活した。5月8日に今季初黒星を喫するまで開幕5連勝。4月9日の復帰初戦の初回、いきなり時速97マイル(約156km)をマークするなど、手術前と変わらない、力強い投球を披露した。

 一般的に「トミー・ジョン手術」を受けた投手は、復帰まで12~14カ月を要すると言われる。だが、ハービーの場合、シーズン終了直後に手術を受けたため、'14年を完全なリハビリ期間に設定し、焦ることなく、18カ月後の今季開幕をターゲットに復帰プランを進めた。

 この「スロー・リハビリ」が、にわかに注目を集め始めている。昨年8月に同手術を受けたエンゼルスの23歳左腕、タイラー・スキャグスは、当初、1年後となる今季中の復帰を目指していたが、予定を20カ月後の来年開幕に変更することを明かした。

「マット・ハービーのプログラムにトライしてみることにしたんだ」

リハビリの長い投手ほど、復帰後に力を発揮できる?

 1年後の復帰を目指す場合、それだけ投げ始める時期も早くなる。メジャーへ復帰する前には、マイナーでの登板もこなすため、術後10カ月頃から実戦登板が待ち受ける。だが、開幕を照準にすれば、例年通りに春季キャンプをこなし、シーズンへ入れるという青写真だ。

 '11年11月にメスを入れたジョン・ラッキー(当時レッドソックス)の場合、17カ月後の'13年開幕から復帰し、シーズン10勝を挙げたほか、ワールドシリーズでは世界一を決めた第6戦で勝利投手になるなど、完全復活を遂げた。開幕直後、故障者リストに入った時期もあったが、スムーズに復帰できた理由を、リハビリの長さと分析する。

「復帰時期までが長い分、ボールを投げない期間も長かった。それがヒジにとって良かったのだと思う」

 故障からの回復スピードには、年齢や個人差もあると言われる。選手にとっては、できる限り早く復帰したい気持ちも強いだろう。だが、ハービーやラッキーのように、「スロー・リハビリ」が好結果につながっていることは、おそらく偶然ではない。

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