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世界卓球、日本勢はどう戦っている!?
中3ペアの2人が戦いながら得たもの。
posted2015/04/30 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
4月26日に開幕した卓球の世界選手権(中国・蘇州)は4日間が過ぎた。残りは4日間、後半戦へと進もうとしている。
世界選手権は、2003年以来、個人戦と団体戦を隔年で実施されてきた。個人戦が行なわれている今回は、来年のリオデジャネイロ五輪の前哨戦と位置づけられる大会だ。だから、日本卓球界はリオへどのような展望を描けるか、そこにポイントがある。
そのような意味を持つ大会へ向けて、日本は男女ともに、若い世代から多数の選手を代表に選び、臨んだ。
若い日本代表を象徴するのは、ともに中学3年生、ダブルスでペアも組む女子の平野美宇、伊藤美誠だ。伊藤は14歳189日でのシングルス出場となり、2003年のパリ世界選手権時の福原愛のシングルス最年少出場記録を塗り替えることにもなった。
「メダルに最も近い」と言われた平野・伊藤組だったが……。
だが、若さと将来性で日本代表に選ばれたわけではない。2人は2014年のドイツ・オープンのダブルスでワールドツアー史上最年少となる13歳での優勝を飾って一躍脚光を浴びた。今年3月のドイツ・オープンではシングルスで伊藤が優勝したが、これは2003年に郭躍(中国)が記録した最年少優勝を塗り替える14歳での優勝でもあった。しかも1回戦では世界ランキング8位でヨーロッパでは最も強いハン・イン(ドイツ)を破り、準決勝では世界ランキング4位でロンドン五輪では銅メダルを獲得したフェン・ティアンウェイ(シンガポール)に勝利するなど、内容も濃かった。
実績の裏づけのある2人が組むダブルスは、「日本勢でメダルに最も近い」と期待を集めてきた。だが、28日の2回戦で敗退してしまった。
2人そろって「悔しいです」と口にし、涙を流した。大会前、メダルを目標に掲げていた2人だから、2回戦で終わるのは本意ではなかっただろう。
敗因ははっきりしていた。対戦したのはリー・ジエ(オランダ)とリー・チェン(ポーランド)組だが、このペアがカット型の2人だったことだ。