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<なでしこのDFリーダーとして> 岩清水梓 「怖さを、強さに変えて」 

text by

藤島大

藤島大Dai Fujishima

PROFILE

photograph byTaiji Yamazaki

posted2015/03/28 11:50

決して体は大きくない。しかし彼女は、図太い。
ハードかつクレバーに最終ラインを統率する
DFリーダーが考える、なでしこの強さとは。

 太い人は意外に細かった。

 クラブハウスの一室。およそ「余計」と無縁のスリムな女性が颯爽とやってきた。

 岩清水梓、太いのに細い。この場合の「太い」は体型ではない。存在の輪郭が濃いのだ。そして精神が図太い。

 断ち、閉じ、潰し、必要ならぶっ倒す。なでしこの誇るセンターバックは、いつでもふてぶてしいまでの一貫性を発揮してきた。前回ワールドカップ(W杯)における米国との決勝、延長後半終了直前、カウンター攻撃からアレックス・モーガンが飛び出して危険な状況、日本代表の背番号3は当然のように大切な右脚を障害物へと供出する。退場と引き換えに2-2のスコアを死守、感激のPK戦勝利へと結ばれた。

 以来、印象は変わらない。すなわち余計を省いて図太い。ただサッカーと仲間が好きだから走り蹴り考える。芝の上では実像より大きく映る――。よきフットボーラーの条件だろう。眼前に実例が笑っている。

『Jリーグ選手名鑑』、超がつくくらい好きなんです。

――専門誌の『Jリーグ選手名鑑』マニアとの噂があります。

「超がつくくらい好きなんですよ。新しい選手が出てくると本棚から引き出してチェック。アンケートを熟読、経歴も気になります。小笠原満男選手が好きなんですけどあんまりアンケートに答えてくれない」

――小笠原、背中で語る男……。

「ですね。ですね」

――スキンヘッドの闘魂、元ヴェルディの40歳、土屋征夫(甲府)も好みでは?

「目標です。大好きです」

 なでしこリーグの中心的人物はJリーグの熱心な観客だ。ベレーザの日程と照らし合わせて近隣開催に狙いを定める。「自分でチケットを買い」一般ファンと隣り合わせのシートに身を沈めてはピッチの攻防を凝視する。

「当然ヴェルディびいき。選手があちこちに移籍すると、そのチームにも興味がわく。選手名鑑の出番です」。

【次ページ】 戦わずして勝てるポジションと、カンの働く状況を。

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