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スマイルジャパンに現れた18歳FW。
床秦留可は世界7位をもたらすか。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO
posted2015/03/26 10:30
姉・床亜矢可(右)と、妹・秦留可の床姉妹。五輪出場のまさにボーダーライン上にいる日本代表にとって、姉妹の活躍が命運を握る可能性がある。
U-18のエースで、同世代では既にワールドクラス。
身長164㎝で姉より少し大きい床秦留可は、おっとりした外見からは想像もつかないような、激しいパックの奪い合いや、相手選手とのぶつかり合いも辞さない優れたポイントゲッターだ。1月にはU-18の世界選手権トップディビジョンに出場して、スウェーデン、スイス、フィンランドという強豪3カ国と対戦、チームは全敗だったものの、全5試合で1ゴール3アシストと、日本が挙げた全8得点のうち半分の4得点に絡む活躍を見せている。
中でもスイス戦では、ペナルティーで日本が2人少ない「3人対5人」の状況から、志賀葵のアシストを受けてゴールを決めるなど、U-18のエースに相応しい活躍を見せた。フェイスオフ(1対1でのパック獲得プレー)の獲得率も56.59%を記録、大会のフェイスオフ・ランキングに入っている31選手の中で13番目の成績を残すなど、この世代ではワールドクラスの選手であることを印象づけている。
床姉妹の父親、床泰則氏は、西武鉄道のDFだった元アイスホッケー選手で、日本代表でもプレーしていた。今回、妹の秦留可が代表入りしたことで、姉妹2人で親子代表となった。姉妹、あるいは兄弟がそろって「二世選手」というのはさまざまな競技で見られるが、そろって日本代表というケースは、あらゆる競技を通じて日本では非常に珍しいはずだ。
3歳年上の姉の亜矢可は、ソチ五輪でも日本代表の第1号ゴールを決めたり、3月に行なわれた今季の全日本選手権では大会の最優秀DFに選出されるなど、すでにスマイルジャパンで軸をなしている選手の1人。今回の世界選手権では、姉妹そろっての活躍が楽しみだ。
スウェーデンの強豪チームに移籍した平野由佳。
ソチ五輪が終わったあと、さらにレベルアップしたプレーを目指して、昨秋からスウェーデンのリーグに移籍したのがFWの平野由佳だ。平野は以前、フィンランドのリーグでプレーした経験があり、欧州のチームに移籍するのは2度目。今回入団したのはストックホルムが本拠地のAIK。優勝を争っている強豪チームで、4位になったソチ五輪のスウェーデン代表にも、3選手がこのチームから選出されていた。