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英雄に続く、15歳の新星。小国・カザフのフィギュア熱。
~デニス・テンが与える次世代の夢~ 

text by

野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph bySunao Noto

posted2015/03/22 10:30

英雄に続く、15歳の新星。小国・カザフのフィギュア熱。~デニス・テンが与える次世代の夢~<Number Web> photograph by Sunao Noto

モスクワ生まれのトゥルシンバエワは、昨季のジュニアデビュー前からオーサー氏に師事。

 たった1人のヒーローが、その国のスポーツ人気を背負い、次世代に夢を与える。日本で錦織圭がテニス界を牽引するのと同じように今、カザフスタンではフィギュアスケートが熱い。

 ブームの中心にいるのは、今年2月の四大陸選手権で4回転ジャンプを計3本成功させ貫禄の優勝を決めたデニス・テン。'13年世界選手権で銀、'14年ソチ五輪で銅を獲得し、国民的英雄になった。米国を練習拠点にする彼だが母国に帰ると、

「ファンに囲まれサインの列が出来てしまって街を一歩も歩けない。運転手とボディーガードを雇わないと、危なくて家から出られないんだ」

 人口約1700万人の小国にとっては、羽生結弦とはまた異質のスターぶりなのだ。テレビ・雑誌出演、コマーシャルなどの仕事を精力的にこなし、

「僕が今どれだけ露出するかで母国にフィギュアスケートが根付くかどうかが決まる。将来が僕の肩に掛かっている」

 と言う。'14年夏にカザフスタン2都市でのアイスショーを企画すると、チケットは即日完売。稼いだ資金で“選手育成基金”も創設し、21歳ながら次世代の育成にも乗り出した。

オーサーに師事するトゥルシンバエワの急成長。

 もちろんカザフスタン五輪委員会が黙っている訳がない。2022年冬季五輪に立候補し、既にフィギュアスケート会場を建設してしまうほど意気込んでいる。

 そして同国待望の“後輩”も頭角を現した。3月に行われた世界ジュニア選手権で、15歳の少女エリザベート・トゥルシンバエワが4位に入ったのだ。最も会場を沸かせた選手としてエキシビションにも特別出演する活躍。昨夏から羽生と同じブライアン・オーサーに師事し、「3回転+3回転」の連続ジャンプや演技を磨いてきた。日本では宇野昌磨の優勝や樋口新葉の銅メダルが報じられたが、カザフからは国営放送が現地入り。トゥルシンバエワの活躍は連日、生中継され、

「母国初の五輪メダルを獲ったテンは英雄です。私もテンのように、女子初の五輪メダルを獲るわ」と語った。

 同国スケート連盟のクララ・ウズロル氏は胸を熱くし、こう語る。

「スケートの競技者がここ数年で一気に増え、世界で戦える選手が出始めている。平昌五輪では金メダル、そして'22年冬季五輪の招致も成功させたい」

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