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野村元監督は見抜いていた打者適性。
楽天・片山、10年目の転向を考える。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/02/13 10:40

野村元監督は見抜いていた打者適性。楽天・片山、10年目の転向を考える。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

バットを持った姿が新鮮な片山博視。高校通算36本塁打の打撃は今も錆びていないか。

 楽天の片山博視投手の打者転向が発表された。

 2010年から中継ぎ投手として2年連続50試合以上に登板し、2010年には防御率1.88の好成績を残した。2013年の日本一にも貢献した投手のひとりである彼の打者転向は、ちょっとしたニュースだろう。

 昨今は、オリックスの糸井嘉男やヤクルトの雄平など、ドラフト1位入団選手の打者転向が成功しているが、これに'05年高校生ドラフト1巡目の片山は続くことができるのだろうか。

 個人的には、片山の打者転向にはそれほど驚いてはいない。打者転向の理由が怪我によるものだというのは残念だが、報徳学園時代から「バッター向き」とする声が多かったから、「打者・片山」のイメージにそれほどの違和感はないのだ。

 むしろ気がかりなのはプロ入り10年目、27歳にしての打者転向ということである。この時期になっての打者転向は、果たして「適切」なのかどうか。

 これほど打者転向がクローズアップされる背景には、上に挙げた糸井と雄平の成功例が強い印象を与えたからに他ならない。

糸井はプロ入り前から、野手転向の可能性を意識していた。

 とはいえ、糸井と雄平のケースを考えると、その内情は多少異なっている。

 前者・糸井の転向はプロ入り以前から想定されていたもので、球団のビジョンがしっかりと裏にあったからだ。

 2003年、自由枠で日本ハムに入団した糸井が、近畿大時代は150kmを投げる投手だったというのは有名な話だ。身体能力に身体がついていかず、大学3年になるまで雌伏の期間を有したが、3年時に頭角を現すとアマチュアを代表する投手になっていった。大学4年時にはリーグ戦のライバルだった立命館大戦で2試合連続完投勝ち(うち1完封)するなど、驚異的なピッチングを見せていた。

 一方の打撃の方は、力を入れて取り組んでいたわけではなかったものの、一塁到達が4秒台を切るなど、足の速さは際立っていた。投手として送りバントを命じられ、それが内野安打になりそうな場面が何度もあったという。ある日の練習で糸井のスイングスピードを測ったところ、大学の先輩でプロでも活躍した林威助(元阪神)とほぼ変わらないレベルだった。

【次ページ】 「お前の契約金のうち、半分は野手としてのもの」

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