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<体幹とランの関係性> “骨”で進化する体幹ランニング ~金哲彦×松村卓~
text by
坂本真理Mari Sakamoto
photograph byAsami Enomoto
posted2015/01/29 11:40
言い続けてきたカリスマコーチ・金さんが、
話題の「骨ストレッチ」を提唱している
松村さんと目から鱗が連続のトークを展開。
ランと体幹の深い関係、覗いてみませんか?
本日発売のNumber Do『欲しい体を手に入れる体幹論』より、
ランニングと肉体の関係を深く探った対談を公開します!
松村 金さんがロングセラーとなっている『「体幹」ランニング』を出版されたのは'07年。まだ“体幹”という言葉がランナーにも一般的ではなかった頃ですよね。その頃から「肩甲骨を動かせ」「体幹で走れ」と書かれていて、さすが着眼点が違うなぁと思っていました。
金 ランニングに関していうと、それまで「走り方」を考えてなかったんです。練習メニューの組み方、スピード練習、栄養学などに関しての本はたくさんあったけれど、走り方やフォームを教えている本がなかった。市民ランナーも、ただ走ればいいってもんじゃないですよね? だから効率よく、速く走る方法を伝えたいと思ってました。
肩甲骨の動きと、体幹で重心を移動させる力の関係性。
松村 感性のいいランナーは、自然と体幹を使って走れていますが、多くの人は体幹を使って走る感覚を持てていないと思います。金さんは、トップランナーを指導される機会も多いと思うんですが、どうして体幹や肩甲骨に着目されたのでしょうか?
金 スランプに陥った選手の背中を見たときに、ピンときたんです。それまでは動いていた肩甲骨が動いていなかった。それによってストライドが狭くなっていて、前へ重心を運ぶ力がない。肩甲骨の動きの悪さが、体幹で重心を移動させる力を制御しているんじゃないか? と思ったのがきっかけです。
松村 なるほど。マラソンを見ていると、強い選手は脱力して走っていますね。とくに、ケニアなどアフリカの選手は、柔らかいフォームで、もの凄いスピードを出している。
金 フルマラソンは42.195kmと長いので、着地の瞬間に姿勢を保つための筋肉の強さも必要です。ただ、筋肉に変な“力み”がある人は、体をうまく使えていないことが多い。肩甲骨まわりの筋肉だろうが、股関節や骨盤まわりだろうが、“力み”があると、前へ進む力が弱くなるんです。
松村 金さんは“力みがない”と表現されましたが、似たような意味で、僕は全身の筋肉を“柔らかく”したほうが、速く走れると考えているんです。たとえば、マッチョなチーターとかいませんよね(笑)。チーターやライオンのお腹はもの凄く柔らかい。だけど、凄いスピードで駆けることができます。