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教えるという行為に悩む人へ。
~羽生結弦と『チーム・ブライアン』~ 

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幅允孝

幅允孝Yoshitaka Haba

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photograph byWataru Sato

posted2015/01/18 10:40

教えるという行為に悩む人へ。~羽生結弦と『チーム・ブライアン』~<Number Web> photograph by Wataru Sato

『チーム・ブライアン』ブライアン・オーサー著 樋口豊監修 野口美惠構成・訳 1400円+税 講談社

 ちょっと謙虚すぎやしないかい、ブライアン・オーサーよ。現役時代のあなたは頑なにトリプルアクセルにこだわり、カルガリー五輪の男子フィギュアではボイタノとのブライアン対決を熱演した。氷上のあなたは、いつも陽気。そして、自己顕示のオーラを全身から放ちながら観客との一体感を誰よりも愉しんで滑る男だった。

 かつてのファンは、この本を読んでブライアン・オーサーが重ねた年月を知るのだろう。もちろん新しいスケートファンは羽生結弦の、キム・ヨナのコーチとして存在感を示す彼の内側を知るはず。

「負け犬」と呼ばれたオーサーが辿り着いた謙虚の姿勢。

 彼と羽生との師弟対談で幕を開ける本書は、「コーチとしてオリンピック2連覇」を果たしたオーサーがどのように個々の選手たちを教え導いてきたのかを明らかにする。毎日泣きながら練習を重ねたキム・ヨナの逸話。体力のない羽生にスタミナをつけさせるのではなく、スタミナを消費しないスケーティングを徹底したこと。カナダのトロント・クリケット・クラブを拠点にするチーム・ブライアンには完璧な化学融合があった。 

 地元開催のカルガリー五輪で僅差の敗北を喫し、「負け犬」と呼ばれ続けたオーサーは、当時の映像を20年間見ることができなかったという。

 だが、ソチ五輪で羽生結弦が優勝したことで、やっと彼は解放された。そして、彼が辿り着いた境地こそが、謙虚の姿勢。教え子達が以前に指導を受けたコーチや、チーム・ブライアンのスタッフを人一倍労う彼は、誰よりも強い「教える人」になったのだ。

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