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島袋洋奨が掴んだ再生への手応え。
~甦れ、春夏連覇の“トルネード”~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byKei Nakamura

posted2014/12/22 10:00

島袋洋奨が掴んだ再生への手応え。~甦れ、春夏連覇の“トルネード”~<Number Web> photograph by Kei Nakamura

代名詞の“トルネード”を、プロでも貫くという島袋。制球力を取り戻すことはできるか。

 このオフ、ホークスには甲子園で春夏連覇を達成した優勝投手が、同時に2人、加わった。1人はご存じ、松坂大輔。もう1人は島袋洋奨である。

 4年前、興南のエースとして偉業を成し遂げた島袋は、中大に進んだ。甲子園で修羅場をくぐり抜けてきたサウスポーは、1年の春からイニング数を越える三振を奪って力を見せつける。しかし詰めの甘さから勝負どころで失点を喫し、思うように勝ち星を稼げなかった。

 迎えた2年の春。

 開幕戦の先発を任された島袋は、東洋大との延長15回の試合を1人で投げ切って、勝利をもぎ取った。奪った三振は21、球数は226球に達した。そしてこの後、島袋は左ヒジに違和感を訴える。彼は当時の思いを、こう振り返った。

「それだけの代償を払ってもいいと思えるほど、大きな1勝でした。あの頃は、大学でも自分はできるんだということを周りに認めてもらいたかった。だから何百球投げようともマウンドを下りたくなかったし、自分で白黒つけたかった……いや、どうしても勝ちたかったんです」

工藤、佐藤義、吉井……理論派が揃う中でどう甦るか。

 春夏連覇という、決して下ろすことのできない看板の重みと、島袋は戦ってきた。その重みが彼に技術的進化を求め、それが原因でフォームを狂わせ、コントロールも狂わせた。4年になってからも島袋はフォアボールを連発、暴投を繰り返すなど制御不能に陥る。一時はプロを諦めかけたこともあった。だから5位指名でも、島袋は涙ながらに喜んだのだ。

「道を作ってもらいましたから、あとはもう、前へ進むしかありません」

 ゆっくりと右足を上げて体を捻り、そこからワンテンポ、左腰にタメを作って、左の股関節に体重を乗せる。“トルネード”と呼ばれる島袋のフォームは、そこが肝だ。この秋、常にセットポジションから投げることで左足に体重を乗せる意識を高めた結果、狂いの生じたフォームを戻す手応えをつかんだ。だから今の島袋は「自信しかない」と強気なのだ。

 高校生と大学生では体が変わり、同じバランスで投げるのは難しくなる。春夏連覇のイメージと今の体をどう結びつけるのか――来年のホークスには工藤公康、佐藤義則、吉井理人と、一軍トップに理論派が揃う。彼らが島袋をどう導くのか、春のキャンプの見どころでもある。

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