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山形が体現した「仁義なき戦い」。
菅原文太の名セリフで考える。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byNoriko Nagano

posted2014/12/11 10:30

山形が体現した「仁義なき戦い」。菅原文太の名セリフで考える。<Number Web> photograph by Noriko Nagano

J1昇格プレーオフの2試合で、ともに値千金の働きを見せた山岸範宏。現在は浦和からの期限付き移籍中の身だが、完全移籍へ向けてクラブも動き出している。

「云うとったるがよ、狙われるもんより、狙うもんのほうが強いんじゃ」

 ご存知、「仁義なき戦い」の中の菅原文太のセリフである。追悼の意味で見直したのだが、モンテディオ山形の選手や監督も、もしかすると試合前に同じ作品を見て、このセリフを頭に刻み込んだのではなかったか。

 6日、7日は朝から晩までたくさんの試合を見た。6日の昼はJ1で残留をかけた大宮アルディージャの試合を見て、夜はボクシングのOPBFタイトル戦に。日曜はあまりにいろいろあるので、どこに行くか決めかね、家でテレビのザッピング。朝からバドミントン、マラソン、ゴルフ、大学ラグビー、競馬のGI、アマチュア相撲などを見たが、どの試合も「狙われるもんより、狙うもんのほうが強いんじゃ」という文太の名セリフの真実性を裏書きする場面が数多くあった。中でも一番はサッカーのJ1昇格争い。モンテディオ山形とジェフ千葉の試合は、映画を地で行く痛快な展開だった。

準決勝での勝利も“うっちゃり”。

 山形のJ2での順位は6位。J2は2位までが自動的に昇格し、3つ目の席は3位から6位のプレーオフで決める。そのプレーオフに辛うじて滑り込んだ。7位との勝ち点の差はわずかに1だから、もし勝ち試合をひとつ引き分けていたら、プレーオフの場にも立てなかったわけだ。

 土俵際というか、崖っぷちというか、ともかく、こんなきわどい場所でなんとか命綱を手に入れた。それがよかった。

 準決勝のジュビロ磐田戦では引き分ければ上に進めないという状況の中で、アディショナルタイムにGKまでゴール前にあげる一か八かの大ばくちを打ち、そのGK山岸範宏のヘディングシュートで勝ち上がった。徳俵に足がかかった中での捨て身のうっちゃりみたいな勝ち方だが、ともかく勢いがついたことは間違いない。

 山形は天皇杯でも勝ち残っていて、11月30日の磐田との試合の4日前には準決勝を戦っている。11月の最終週に2試合やって12月7日に決戦。試合日程が立て込んでいて、コンディションは十分とはいえなかったろうが、7日の試合はそんな様子は少しも感じさせなかった。

【次ページ】 「弾はまだ残っとるがよ」

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