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オール電化のレース開幕。元F1の佐藤琢磨も参戦。
~「フォーミュラE」発展なるか~ 

text by

赤井邦彦

赤井邦彦Kunihiko Akai

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photograph byAFLO

posted2014/10/15 10:00

北京の開幕戦には佐藤琢磨も出場。エンジンよりもモーターは圧倒的にレスポンスが速い。

北京の開幕戦には佐藤琢磨も出場。エンジンよりもモーターは圧倒的にレスポンスが速い。

 本格的なオール電化のフォーミュラカー・レースが始まった。去る9月13日、北京のオリンピック公園を囲む公道を閉鎖して開幕戦が行われたFIAフォーミュラE選手権。内燃機関を搭載せず、バッテリーによって稼動するモーターだけが動力源のフォーミュラカーによるレースだ。フォーミュラEのEはElectric(電気)のE。2年間の準備期間を経てスタートしたこのレース・シリーズ、モータースポーツの継続と環境維持の両面を可能にするプロジェクトとして世界各国の大都市から開催誘致を受ける。

 使用するクルマはスパーク・ルノーSRT01Eと呼ばれる歴としたワンメイク・フォーミュラカー。イタリアの名門レーシングカー製造会社ダラーラが製作したシャシーに、ウィリアムズF1チーム傘下の技術開発会社が開発したバッテリー、マクラーレンF1チーム傘下の会社が製造したモーターを積む。電気系メインテナンスはルノーが担当する。車体の大きさはF3マシン程度だが、蓋を開けると近未来のテクノロジーが詰まっている。タイヤもミシュランが専用に開発したエコ・レーシングタイヤだ。

「とにかく頭を使うことが強いられる」と琢磨は語った。

 開発に最も苦労したのがバッテリー。市販EVが抱える問題と同様に寿命が短い。レースで使用するバッテリーのエネルギーは市販EVの比ではないが、最高値で走ると僅かな距離しか走れない。そこで、苦肉の策としてレース途中でクルマを乗り換えて100km程度の距離を走破して競う方式を採用。乗り換える様子はまるでディズニー映画のように滑稽だが、レースは時速250kmの最高速を誇る本格的なもの。市販EVの発展に合わせてレースでもEVの存在感を高めたいFIAが真剣になる理由がそこにはある。

 北京で行われた開幕戦には10チーム、20台が参加した。そのうちの1チームは鈴木亜久里が率いるアムリン・アグリチーム。2人いるドライバーのひとりに佐藤琢磨が起用された。「まったく新しいレース。ドライバーにはバッテリーが空にならない様にエネルギーを回収する運転が要求されたり、とにかく頭を使うことを強いられる」(佐藤)。佐藤の他にもF1を経験したドライバーが大勢参加。レースは激しい接戦が繰り広げられ、最終ラップの事故の隙を突いたルーカス・ディ・グラッシが初代優勝者に輝いた。

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