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急成長するイランから日本が学ぶべきこと。
~男子バレー、五輪出場への難敵~ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2014/10/13 10:30

急成長するイランから日本が学ぶべきこと。~男子バレー、五輪出場への難敵~<Number Web> photograph by Getty Images

5位-6位決定戦では敗れたものの、セッターのマルーフを中心に柔軟なプレーを見せた。

 9月21日、ポーランドで行なわれていたバレーボール男子世界選手権が閉幕した。日本が不出場だった大会で目をひいたのはイランが6位になったことだ。1982年に日本が4位となって以降、アジア勢として最高成績である。

 '00年代半ばまでアジアでも中位程度に過ぎず、日本より格下と思われていたイランはここ数年で台頭した。'11年にアジア選手権で初優勝すると同年のワールドカップに20年ぶりに出場。'12年のロンドン五輪出場はならなかったが昨年は国際大会で強豪のアメリカ、イタリアを破ったほか、アジア選手権を連覇。今夏のワールドリーグでもアジア勢初の4強入りを果たしている。

 躍進の理由は2つある。イランは約10年前から育成と強化に取り組んできた。成果は'07年の世界ユース選手権優勝、'09年準優勝に表れ、その世代がシニアに上がってきた。それ以上に大きいのは'11年から'13年まで率いた現アルゼンチン代表監督ベラスコの手腕である。かつてイタリアにアトランタ五輪銀メダル、世界選手権制覇をもたらし、名将の1人に数えられる指導者だ。

「1」しかないアジア枠で出場権を勝ち取るために。

 氏は就任すると、組織力に磨きをかけた。攻撃は多彩に、戦いぶりも臨機応変になり、ひとことで言えば洗練されたチームに変貌した。新監督になった今シーズンも、培われた土台まで消えはしなかった。それが好成績につながっている。

 そして日本はイランに追い抜かれ、置いていかれた現在がある。その違いはやはり強化策にあると言わざるを得ないが、日本協会は北京五輪後、代表監督を公募したことがある。応募してきた10名の中にはベラスコ氏もいて、日本を強化するためのレポートを提出したという。だが不採用となり、のちにイランの監督に就任した。もし、日本の監督になっていたら……たらればではあるが、ふと想像せずにはいられない。

 2年後のリオデジャネイロ五輪の出場国決定方法は発表されており、アジア枠は1。世界最終予選などもあるとはいうものの、想定されるレベルの高さを考えれば、イランをはじめとする難敵を倒しアジアで出場権を勝ち取りたいところだ。残された時間からすればそれが厳しいのも事実。だがイランの姿は、急成長が不可能ではないことを示してもいる。

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