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迷走続く“赤い悪魔”。試される名将の手腕。
~ファンハール革命の行く末は?~ 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byAFLO

posted2014/09/29 10:00

8月26日のリーグカップは3部チーム相手に0-4の大敗を喫した。

8月26日のリーグカップは3部チーム相手に0-4の大敗を喫した。

「ファンハールは本物なのか?」

 マンチェスター・ユナイテッドのファンの間で、こんな台詞が密かに囁かれ始めている。不安を感じるのも無理はない。プレミアの第3節を終えた時点では、1敗2分けで14位。昨年の同時期、7位に付けていたモイーズよりも明らかに見劣りするばかりか、8月26日にはリーグカップでも早々と敗れてしまった。

 ましてや今夏のユナイテッドは、チーム再建にむけて、なりふり構わぬ補強を行なっている。ファンハールの起用は言わずもがな、ディマリアやルーク・ショーなどを総額1億5000万ポンドで招聘。ファルカオもローン契約で獲得し、経営赤字の問題そっちのけで博打に出た。ファンがそれでも耐えているのは、昨季の二の舞にはならないはずだという漠然とした予感と、新監督への盲信めいた期待感を抱いているためだ。

 ユナイテッドは、なぜ躓いたのか。

「ファンハール革命」と呼ばれるチームの刷新が、引き金を引いたのは言うまでもない。監督の交替と大規模な選手の入れ替え、3-5-2の導入という戦術システムの変更まで加われば、現場が混乱しない方がおかしい。8月中は、主力選手に怪我が相次ぐ不安も重なった。

クラブ幹部は「目標はプレミア優勝」と断言するが……。

 一方で、ベテラン記者のトム・ティレルのように、現地識者の中には「ファンペルシやルーニーが復調すれば、自然に白星はついてくる。そもそもスロースターターなのは、今に始まったことじゃない」と楽観的な見方をする者もいる。現にユナイテッドは'07-'08シーズン、16位からスタートしてプレミアを制したし、ファンハール自身、バイエルンで2冠を達成した際には、序盤で出遅れた経験を持つ。

 いずれにしても、ある程度時間が経てば、チームの状態は上向いていくだろう。むしろ今後の焦点は「いつ」ではなく「どこまで」になる。巷ではCLの出場権を確保できれば御の字だという意見が多い。だがユナイテッドの某幹部はこう断言する。

「目標はあくまでプレミア優勝だ。監督の知名度や、補強費用を考えても、それ以外の結果はありえない」

 ではファンハールに必要なものは何か。サンデイ・ミラー紙のサイモン・マロック記者の指摘は興味深い。

【次ページ】 なぜボランチとセンターバックを獲得しなかったのか?

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