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“アグー1世”が担うライオンズ、逆襲の夏。
~沖縄育ちの大砲候補・山川穂高~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/07/02 10:00

沖縄の中部商高時代は甲子園出場は無いが、富士大学では1年時から4番を任された大器。

沖縄の中部商高時代は甲子園出場は無いが、富士大学では1年時から4番を任された大器。

 片鱗は覗かせた。ついに立った一軍の舞台。ヒットを打つことは出来なかったが、ルーキーの放った痛烈なライナーは、ライトを守るベイスターズの多村仁志をヒヤッとさせた。一瞬、前へ出かかって、慌ててジャンプする。彼はそれほど伸びのある打球を飛ばしたのだ。

 6月22日、横浜でのベイスターズ戦。

 ファームから昇格してライオンズの5番、DHに座った山川穂高は、イースタンで打ちまくっていた。ケガで出遅れながらこの時点でのホームラン15本、43打点はリーグトップ、打率.340は2位。右にも打てる柔らかさを兼ね備えたバッティングや100kg超の体型、左手をダランと下げて右手一本でバットを持つ構え方などはどれも中村剛也にそっくりで、だから彼は“おかわり2世”と呼ばれた。山川が打席に入ると、ベンチで見つめる中村も思わず苦笑いを浮かべてしまうほどだった。山川はこう話す。

「中村さんの形、とくに足の使い方を参考にして、自分の形を作り上げようと思ってます。足を使って、いかに低く入っていくか。右ヒザが地面につくくらいのイメージでグーッと低く入っていければ、打球が上がるんですけど……中村さんに比べたら僕、まだ足は弱いんですよ」

見た目は瓜二つでも“おかわり2世”ではないスラッガー。

 試合中、サードから「グッ球たま、グッ球たま」とピッチャーに声をかけ続ける山川の声出しは、ファンの笑いを取るほどのファーム名物となっていた。アグーというニックネーム、巨体、でかい声という磊落なイメージの反面、逆立ちやバック転が得意で、ピアノを弾けば久石譲の『Summer』が十八番だという意外性もまた、ファンを引きつける。山川は“おかわり2世”じゃない、“アグー1世”だとばかり、ちょっとした意地を覗かせた。

「僕は、バットの先っぽに当てた方がホームランになると思ってるんです。バットをできるだけ体の近くで回して、ボールの内側を、バットの先で打つ。中村さんは詰まった方が飛ぶって言うんですけど、僕は絶対、バットの先っぽだと思います。詰まるより先っぽ。中村さんと僕は、そこが決定的に違います」

 詰まってもホームランになる中村、先っぽでホームランを打つ山川。マニアックな違いはあれど、瓜二つの4、5番が打線に並べば、ライオンズ、逆襲の夏が現実味を帯びてくるに違いない。

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