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「トミー・ジョン手術」を受ける若手が増えている理由。
~MLB全投手の約3割が経験者に?~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2014/06/12 10:30

「トミー・ジョン手術」を受ける若手が増えている理由。~MLB全投手の約3割が経験者に?~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

昨季のオールスターでナ・リーグ先発投手を務めたマット・ハービーも現在リハビリ中だ。

「肩、肘は消耗品」という考えが定着している米国で、球数問題が論議を呼ぶ「事件」が起こった。ワシントン州の高校生が5月13日、延長15回途中まで194球を投げたことが明らかになった。この情報に対し、2012年にサイ・ヤング賞を獲得したレイズのデビッド・プライスが、自身のツイッターを通して「指導者を辞めさせるべき」とコメントしたことが話題を集めたのだ。

 ここ数年、メジャーでは「トミー・ジョン手術」と呼ばれる肘腱移植手術を受ける選手が激増している。しかも、長年酷使され続けたベテランだけでなく、デビュー間もない若手選手に故障者が続出している点が、これまでと違う。

 昨季のオールスターで先発を務めた25歳のマット・ハービー(メッツ)をはじめ、昨季ナ・リーグ新人王で21歳のホセ・フェルナンデス(マーリンズ)らが手術に踏み切り、早々と戦列を離れた。米国の調査会社によると、今年の春季キャンプから5月16日までの約3カ月間だけでも手術を受けた選手は19人。このペースでいけば、数年のうちにメジャーに在籍する全投手の3分の1近くが手術経験者になる可能性があるという。

成功率が90パーセント前後まで上がったことも要因か。

 手術増加の原因については、医療専門家の間でも特定できていない。若年時代の投球過多、多球種を投げることに伴う負担増、筋力とのアンバランス、上半身頼みの投球フォームなど、複数の可能性が挙げられている。ただ、かつては選手生命を左右すると言われた大手術の成功率が近年は90パーセント前後まで上がり、術後に第一線に戻って活躍する選手が増えたことで、手術を決断しやすくなった背景もある。

 '11年オフにメスを入れたジョン・ラッキー(レッドソックス)は、「数年前から痛かったが、ずっと我慢して投げていた」と言う。'09年オフに大型契約でFA移籍したこともあり、早期離脱を避けるうえでも、手術を先送りにせざるを得なかった。近年、若手投手が早期に手術を受けるのも、我慢して投げるのではなく、FA権取得までに故障を完治させるのが目的との指摘もある。

 手術から本格復帰まで1年以上と言われるトミー・ジョン手術。球数制限や投球プログラムだけでなく、今後はさらに故障防止への取り組みが活発化しそうだ。

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