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“するり”と綱取りに成功。
新横綱・鶴竜の実力は。
~角界勢力図は変わるのか~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKYODO

posted2014/04/19 10:30

“するり”と綱取りに成功。新横綱・鶴竜の実力は。~角界勢力図は変わるのか~<Number Web> photograph by KYODO

貴乃花親方の指導で、土俵入りの稽古をする鶴竜。明治神宮の本番で雲竜型を初披露した。

「これからより一層、稽古に精進し、横綱の名を汚さぬよう、一生懸命努力します」

 昇進伝達式で、こうシンプルに口上を述べたのは、第71代横綱となった鶴竜だった。今年1月場所、白鵬との優勝決定戦に臨んで惜敗した鶴竜は、「優勝に準ずる成績」とされ、早々に綱取りに失敗した稀勢の里に代わり「横綱候補筆頭」に躍り出る。いささかの唐突感も否めなかったが、先の3月場所で、初優勝とともに横綱をするりと手中にした。過去70人の歴代横綱昇進時を振り返ってみても、得てして横綱誕生とは「運」や「タイミング」、「見えない力」も味方するものなのだ。

 これまでの鶴竜は、相撲の巧さには定評があれど、安易な引き技が目立った。ここ2場所の成績は共に14勝1敗だが、それまでの大関在位10場所のうち、2ケタ勝利を挙げたのはわずか3場所。存在感の薄い、地味な大関として甘んじていた所以である。

「しばらくは金星配給横綱になりかねない」という声も。

 そんななか、それまで140kg台だった体重は、今年に入って154kgに増量していた。密かな筋トレも功を奏し、先場所の取り口には、力強さも加わった。

「今までの経験や、コツコツとやってきたことが出せたんだと思う」と鶴竜自身は述懐する。彼を知る誰もが、「性格も相撲に対する気持ちも、真面目で一途。その品格は申し分ない」と評す。

 だが、ある元横綱はこう危惧している。

「横綱になったとはいえ、鶴竜は低く当たってくる力士はまだまだ苦手。さらに大関時代とは違って、みんな思い切り倒しに来るもの。しばらくは金星配給横綱になりかねないのでは……」

 鶴竜の昇進によって、モンゴル出身の3人が、頂点に君臨することになる大相撲界。さて、今後の「角界勢力図」は、いかなる展開を見せるのだろう。角界における大方の意見は、以下に集約された。

「日馬富士は安定感がないし、白鵬が引っ張っていくことには変わりがないだろう。気鋭の遠藤は、幕内力士としての体作りなど、まだまだこれから。次期大関候補の豪栄道も相撲にムラが多いし、やはり3横綱に拮抗するのは、稀勢の里くらいしかいないのが現状だ」

 モンゴルの牙城を突き崩す日本勢の活躍を、誰もが待望している。

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