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アダーナン・フィン(記者)×ウガリ&和食 「ケニアでも日本でも、ランナー大国たる食文化を発見できた」 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byNanae Suzuki

posted2014/04/04 10:00

アダーナン・フィン(記者)×ウガリ&和食 「ケニアでも日本でも、ランナー大国たる食文化を発見できた」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki
普段の食事からレース中まで、
ランナーが「食べる」&「飲む」といかに付き合うか。
五輪選手から週1ランを楽しむ芸人まで、
個性豊かな7人に自分なりの方法論を教えてもらった。

好評発売中の雑誌Number Do『RUN&EAT あなたの「走る」が「食べる」で
変わる』
より、イギリス人ジャーナリスト、アダーナン・フィン氏の
インタビューを公開します!

 ケニア人ランナーの速さの秘密を探るべく、現地に渡って生活し、ルポルタージュを上梓したイギリス人ジャーナリスト、アダーナン・フィン。駅伝文化を取材するために来日していた彼に、ケニアと日本、それぞれの「RUN&EAT」事情を聞いてみた。

 僕がケニアに移住したのは2011年。きっかけとなったのは、子どもの頃にテレビで見た、ケニア人ランナーの姿さ。彼らは全身にエネルギーやパワーを漲らせながら、いつもダイナミックなフォームで走っていた。

 でもそれ以上に驚きなのは、ワイルドなレース運びだった。陸上選手を目指していた僕は、コーチから必ず同じペースで走れと言われていた。ところがケニアのランナーは、ペース配分なんてお構いなし。スタートから全力で飛ばし、そのまま優勝してしまう。

 また白人の女性ランナーの中には、ケニアでトレーニングを積んだ結果、見違えるように速くなり、クロスカントリーの世界選手権で優勝するまでに成長した選手もいた。大学卒業後、ジャーナリズムの世界で働くようになった僕は、現地に住んでいた親戚を頼って、秘密を探りにいくことにしたんだ。

ケニアでは国民全体でカーボローディングをしている?

 ケニアのランナーはなぜ速いのか。6カ月間の滞在で、自分なりの答えは見つけることができたと思う。まずはベアフットランニング。子供たちは皆、裸足で走ることを通じて、理想的なフォームを身につける。おまけに海抜は高いし、交通網も発達していないから、自然に脚や心肺機能が鍛えられるんだ。

 しかもランナーの社会的地位は高く、職業を選ぶ上での現実的なオプションにもなっている。当然、練習への取り組み方は半端じゃない。ケニアのランナーたちのストイックさは、仏教の修行僧すら連想させたね。

 同時に忘れてはならないのは、伝統的な食生活だ。ケニアでは米と煮込んだ豆、小麦やトウモロコシの粉を水で練った「ウガリ」が主食になる。冠婚葬祭の特別な席で肉料理が出されることはあっても、基本的に炭水化物以外では、砂糖がたっぷり入ったお茶と、庭に植えた葉物の野菜を摂る程度。チョコレートやピザなんて、食べたくてもまず手に入らないから、国民全体でカーボローディングをしているのと同じになるわけだ。

【次ページ】 ウガリは料理として楽しむことはできなかった(笑)。

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