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日本企業が支えない未来のF1王者。
可夢偉の価値は不当に低すぎる!! 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/01/13 10:30

日本企業が支えない未来のF1王者。可夢偉の価値は不当に低すぎる!!<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

昨シーズンの最終戦アブダビGPでの可夢偉のマシン。白いボディーにはスポンサーのロゴがほとんど無く……痛々しい

ビル・ゲイツを凌ぐ大富豪はスポーツに利益を還元。

 ペレスをサポートしている企業とは、テルメックスという中南米で最大の通信事業会社。その創始者の名はカルロス・スリム。経済誌フォーブスが行っている恒例の長者番付で、'94年から'06年まで13年連続で世界一の座に就いていたのが、マイクロソフト会長のビル・ゲイツだが、そのゲイツが'07年に世界第3位に陥落したとき、世界一の座に躍り出たのが、このスリムである。

 スリムは'08年に第3位になったものの、'09年に世界一の大富豪の座に就き、その資産総額は535億ドル(約4兆4000億円)とも言われている。そして、事業で得た利益を積極的にスポーツ、福祉関連へ供給している。

 スポーツの主役は選手であり、スポーツの魅力は鍛え抜かれた選手たちの力量や技を見ることである。

 そして、その選手の活躍を応援しているのが市場にいるファンであり、その市場の動向を読んで企業が市場から利益を得ている。従って、企業にはスポーツへ利益を還元する義務があり、スポーツ選手はサポートを受ける権利があるはずなのだ。

“未来の世界王者”を日本の企業は無視するつもりなのか?

 今回の『Sports Pro』のランクを見ると、上位50人のうち、17人がアメリカ人選手である。お金をかければ、必ず良いスポーツ選手が作り出せるとは言わないが、スポーツ選手の隆盛と経済との間には密接な関係があることは事実である。

 ちなみに、50位にランクされた可夢偉の評価には、次のような一文が記されてあった。

「すでに評論家からは『日本人初のワールドチャンピオンになるだろう』という声も出ている」

 これが小林可夢偉の世界での評価である。その事実を日本の企業はしっかりと受け止めてほしい。

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小林可夢偉
BMWザウバー

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