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黙々と現実に向きあう38歳、
建山義紀の決意と可能性。
~イチロー、黒田、田中を追って~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2014/03/18 10:00

2月27日のパイレーツ戦で右打者4人を完璧に抑えた。次戦も好投し、昇格も見えてきた。

2月27日のパイレーツ戦で右打者4人を完璧に抑えた。次戦も好投し、昇格も見えてきた。

 日米通算でプロ16年目のベテランは、自身が置かれた厳しい立場を痛いほど理解していた。昨季オフ、ヤンキースとマイナー契約を交わし、招待選手としてキャンプに参加している建山義紀は、言葉を選びながら、しみじみと言った。

「次元の違うところでやられている3人なので、いいものを勉強させてもらえれば、という感じです」

 3人というのは、ほかでもない、イチロー、黒田博樹、そして鳴り物入りで移籍してきた田中将大である。メジャーで実績を残してきた2人はともかく、ひと回り以上、年齢が違う田中に対しても、一歩引いた姿勢を見せるところに、心に秘めた、並々ならぬ決意がのぞいた。

 2011年のレンジャーズ移籍後、2年間は貴重な中継ぎとして重宝された。だが、昨季は腰痛の影響もあり、開幕をマイナーで迎え、6月21日にはヤンキースにトレードで移籍した。その後、3Aスクラントンでは、21試合に登板し、防御率1.70と抜群の成績を収めたものの、結局、最終戦までに昇格の声がかかることはなかった。

同級生、上原についても多くを語らず黙々と汗を流す。

 その一方で、建山の胸の内から「メジャー」が消えることはなかった。今年1月8日、ヤンキースと再契約を結んだのも、可能性と手応えがあったからだった。

「自分がいたところにまた声をかけてもらうというのは、嬉しいというか、そういう思いがありました」

 建山にあらかじめ用意されたポストはない。だが、今季のヤンキースは、昨季限りでクローザーのマリアノ・リベラが引退し、救援陣の再編が急務とされる。

「右打者封じのスペシャリスト」と評価される建山がつけ込むチャンスは十分にある。

 昨季は、東海大仰星高時代の同級生でもあるレッドソックスの上原浩治が大活躍し、世界一の座に上り詰めた。日米両国でスポットライトを浴びた親友の姿について、今の建山は多くを語ろうとはしない。

「メジャーのマウンドで投げたいということも安易に口に出しちゃいけないようなこと。ひとつひとつの積み重ねです」

 田中が脚光を浴びる中、黙々と汗を流し、謙虚に現実と向き合う38歳右腕の姿に、野球人としての「原点」が映し出されていた。

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