REVERSE ANGLEBACK NUMBER

体重114kgに、打率はまさかの5割!?
アジャ・井上晴哉と「太目」の系譜。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/03/13 10:40

体重114kgに、打率はまさかの5割!?アジャ・井上晴哉と「太目」の系譜。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

チーム発表の公式プロフィールによれば身長180cm、体重114kg。“スペック的”には西武・中村剛也、中日・中田亮二らをはるかに上回る日本人最強クラスのバッターだ。

 プロ野球のオープン戦では外見に特徴のある選手にスポットが当たりやすい。主力やスター選手は調整途上だし、シーズン本番になればいやでも取り上げざるを得ないので、メディアはその「つなぎ」といった感じで、わかりやすい記号のついた選手を追いかける。小兵、長身、イケメン。中でも伝統的に人気なのが太目の選手だ。

 ライオンズの中村剛也はその食べっぷりと体型でまず注目されたし、ドラゴンズの「ブーちゃん」中田亮二もキャンプではちょっとしたスターだった。昔のドカベン香川やファイターズ矢作なども懐かしい。

 今年はその系譜にひとり、有望新人が加わった。マリーンズにドラフト5位で入団した内野手の井上晴哉だ。体重114kgは日本人選手としてはもっとも重いといわれる。女子プロレスのスター、アジャ・コングにそっくりの風貌からニックネームは「アジャ」に即決したらしい。

 それだけならキワモノだけど、キャンプ、オープン戦となかなか好調な打撃を見せている。体型に親近感もあったので、実物を見に行ってきた。

強面と、人懐こい笑顔の落差に親しみがわく。

 晴れてはいたが、気温は10度あるかないかの寒い土曜日。アジャがどれくらいアジャに近いか確かめるためグラウンドに下りてみたが、なるほどよく似ている。おかわり、ドカベンなどの癒し系巨漢ではなく、迫力あるバッドボーイタイプ。夜道でバットを持った彼とすれ違ったら少し身構えるかもしれない。

 しかし、練習では新人らしくよく声が出ていたし、強面もいったん緩むと人懐こい笑顔になる。落差があるだけに親しみがわく。

 実は井上を見たのはこれがはじめてではない。最初に見たのは2010年の世界大学野球選手権の合宿。中央大学3年の井上も選ばれて参加していた。そのときは、アジャ・コングと似ているなどとは感じなかった。体型とパワフルなスイングもそれなりのものだったが、それ以上に、いつも笑顔という明るさが印象に残った。

 太目の選手が入団すると、「大きな割には俊敏」などと評されることが多い。井上も動きは決して緩慢ではない。だが、考えてみれば、それは当然で、太目の体型でもプロの指名を受けるのは、運動能力が一定以上の水準にあるからだ。問題は実戦。

【次ページ】 オープン戦の打率は5割を超え、すごいことに。

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
千葉ロッテマリーンズ
井上晴哉

ページトップ