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キャンプインを前に
静かに去る名選手たち。
~大リーガーの“はかない”引退~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byGetty Images

posted2014/02/14 06:10

キャンプインを前に静かに去る名選手たち。~大リーガーの“はかない”引退~<Number Web> photograph by Getty Images

 避けられないこととはいえ、今年もまた、長年に渡ってメジャーを代表してきた個性派の選手が、ユニホームを脱ぐことになった。レンジャーズの主力として攻守にわたり活躍したマイケル・ヤング内野手、同じテキサス州にあるアストロズの中軸だったランス・バークマン内野手が、同時期に現役引退を表明した。ともに、一時代を築いたプレーヤーだったが、「引退」の一報は、地元メディアを通したもの。今季以降の契約が難しい状況でもあり、必然的な流れで現役を退くことになった。

 ヤングといえば、首位打者に輝いた'05年をはじめ年間200本安打を6回記録するなど、イチローの安打記録のライバルとしても知られた。広角に打ち分ける技術で安定した成績を残し続け、球宴には7度出場。かつての弱小チームから強豪へ成長したレンジャーズの象徴的存在だった。両打ちのバークマンは通算366本塁打、球宴出場6度の強打者として活躍した。いずれも、晩年は他球団へ移籍したとはいえ、ともに「チームの顔」として、地元ファンに親しまれていた。

「契約されなければ終わり」の米国社会を象徴する慣習。

 ただ、彼らには、日本球界のように派手なセレモニー的な「引退試合」は用意されていない。メディア向けの会見があればいいほうで、ファンの前でマイクを握り、惜別のメッセージを送るような機会はめったにない。「契約されなければ終わり」の米国社会のルール通り、はかないほどあっさりと現役を退くのが、米国の慣習となっている。

 過去には、ヤンキースのルー・ゲーリッグのように大観衆の前で名演説を残したケースもある。実際、昨季限りで引退したマリアーノ・リベラには、遠征各地の最終試合で記念品贈呈セレモニーの場が用意された。また、松井秀喜も昨年7月28日、ヤンキースタジアムで1日契約を結び、引退セレモニーを行なった。ただ、リベラや松井は特例で、ほとんどの選手が引退を発表することもなく、人知れずユニホームを脱ぐ。

 毎年、1000人以上の新人がドラフトで指名される一方、メジャーに昇格することなく、球界から去る選手は数知れない。球界内の「新陳代謝」が活発で、世代交代のスピードが早いからこそ、名選手の引退劇が、はかなく目に映るのではないだろうか。

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