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なお進化を遂げる西岡、
30代世界王者の充実度。
~Sバンタム級6度目の防衛へ~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2011/01/11 06:00

なお進化を遂げる西岡、30代世界王者の充実度。~Sバンタム級6度目の防衛へ~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

 ボクサーの競技年齢が20代中心であるのは、昔も今も変わらない。ただ、以前ならロートル扱いされた30代でも世界のトップで活躍する選手が多くなったのが近年の傾向である。

“パウンドフォーパウンド”ランキングの常連で言えば、マニー・パッキアオ32歳、フロイド・メイウェザー33歳、セルヒオ・マルティネス35歳、フアン・マヌエル・マルケス37歳、ビタリ・クリチコ39歳と、今や20代の王者を探すのに苦労するほど。日本でも西岡利晃34歳、内山高志31歳、長谷川穂積30歳と、元気な30代はめずらしくない。

「昔に比べ練習方法も良くなりましたが、健康管理面、特に計量が試合当日から前日になり、選手が以前ほど無理をせずにすむようになったのも大きいのでは」と指摘するのは、解説者で元世界スーパーライト級王者の浜田剛史さんだ。

 同じ帝拳ジムの後輩である西岡は、30代になってなお進化を遂げる、日本人選手には極めて稀なケースだろう。20代で名王者ウィラポンに4度挑んで2敗2分けと結果を残せず、さらには2度のアキレス腱断裂。半ば「終わった選手」と見られたこともあったが、そんな頃でも抱負を聞けば「絶対世界チャンピオンになる」と断言し続けた。

 そんな信念の男がついに5度目の挑戦を実らせ世界スーパーバンタム級王座に就いたのが'08年、32歳のとき。ここでハッピーエンドでもおかしくないが、西岡にとってそれはゴールではなくスタートだった。

「頭と鍛えた体とがバランスよくいい状態を保っている」(浜田氏)。

「まだこんなものじゃない」「もっと強くなる」と主張し、実際、その後4度の防衛戦をすべてKO・TKO勝ち。最新の5度目の防衛戦は連続KOこそならなかったものの、英国から迎えた最強の刺客レンドール・ムンローに完勝した。エネルギッシュな挑戦者を力と技術で翻弄し、ボクシングは頭と筋肉を用いてするものだと見せつけたこの一戦こそは、西岡44戦中のベストバウトではなかったか。

 一般にボクサーは、頭でボクシングをマスターする頃には肉体は衰えているが、今の西岡は「頭と鍛えた体とがバランスよくいい状態を保っている」(浜田氏)から強い。「完璧のボクシングを究め、もうやり切ったと感じたら、チャンピオンのまま引退する」という西岡の公約が履行される可能性も大いにある。

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