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プロとアマの雪解けは
金メダリストを生むか。
~日本ボクシング界の新展開~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2011/02/05 08:00

プロとアマの雪解けは金メダリストを生むか。~日本ボクシング界の新展開~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

国際アマ大会優勝やアジア大会銅など活躍を見せる須佐勝明。五輪に向けて期待がかかる

 プロとアマチュアとが良好な関係にある競技がどれほどあるのだろう。特にボクシングはこれまで両者間のギャップが甚だしかった。

 アマの側からすれば、プロは「せっかくわれわれが育てた逸材を横からさらっていく」忌々しい存在であり、「プロと付き合うな」というこれまでの日本アマチュアボクシング連盟の方針は、江戸時代の鎖国政策を思い起こさせた。

 しかし、プロのジムで育ったキッズの好素材がアマで活躍するようになり、今やプロが一方的にアマから奪うだけの関係ではない。そして、両者が一変して協調路線に傾いたのは昨年夏、大橋秀行・現日本プロボクシング協会会長がアマの実力者・山根明氏と会い、互いに協力し合おうと呼びかけたのがきっかけだった。アマOBでもある大橋会長は「一緒にオリンピックの金メダリストを育てよう」と壮大な提案を行なったのである。

 五輪ボクシング史上、日本人金メダリストは47年前の東京五輪の桜井孝雄が最初で最後だから、この大義名分を持ち出されるとアマも弱い。プロが本気で力を貸してくれるなら、反対する理由はない。選手強化のためにプロとの交流が必要と考えるアマ指導者も少なくなかった。

プロ・アマの交流解禁がお互いに歓迎される理由。

 以前ならアマのトップ選手たちは人目を忍んでプロのジムに通い、強豪とスパーで手合わせするのが常だったが、今や大手を振って練習に臨むようになった。

「プロの選手とスパーすると、荒々しく振ってくるので、ガードを注意しなくてはならず、緊張感もあって刺激的。モチベーションも高まります」とプロとの交流解禁を歓迎しているのは、昨年度アマの「最優秀選手賞」を受賞した須佐勝明(写真/自衛隊体育学校)である。プロにとっても、スピードと技術に優れたトップアマとのスパーはメリットがある。

 一方、世界に目を向けると、AIBA(アマの世界団体)が、昨年11月からフランチャイズ方式の団体戦「ワールドシリーズ」をスタート。これが、プロ形式で、試合報酬がもらえて、かつ五輪出場資格も失わないという特典付き。「五輪ボクシングとプロボクシングの架け橋になる」というスローガンを掲げる。プロ容認のIOCに逆らえないAIBAの新機軸だが、こちらはアマの逸材のプロ流出を防ぐ意図もありそうだ。

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