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<名将、ブラジルW杯を斬る> イビチャ・オシム 「どの国から勝ち点3を獲るか、見極めよ」 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/01/07 06:00

サラエボの自宅で抽選会を見守ったオシムは、
組分けとトーナメント表をにらみながら、展望を語った。
日本が入ったグループCに始まり、優勝候補の本命、
ダークホース、そして初出場となる祖国の可能性まで――。

――日本はコロンビア、コートジボワール、ギリシャと同組になりました。

「他よりも危険の少ないグループだ。つまり優勝候補の本命であるようなチームはいない。たしかにコロンビアは強豪だが、ブラジルやアルゼンチン、スペイン、イタリアと同じではない。この中で最も優れたチームはコートジボワールだろう」

――コロンビアよりも上ですか?

「コロンビアとコートジボワールが優位だ。だが日本とギリシャも力は接近していて、どの相手に対しても日本はノーマルなプレーができる。つまりチャンスがあるということだ」

――初戦でコートジボワールと当たります。

「すでに何度か対戦しているだろう。思い出すのは、日本がホームで勝った試合('08年5月、1-0)だ。あの試合は、コートジボワールに対するとてもいいイメージになる」

――しかし'10年の南アフリカ・ワールドカップ直前には日本が敗れています。

「そうかも知れないが、ブラックアフリカ系のチームはどこも、ディシプリンがあり、よく走る相手を苦手とし、おしなべて手を焼いている。日本はそこを突くことができる。0対0できっちりと試合を終えるような、結果を得るための戦い方を日本も覚えるべきだ」

コートジボワールはドログバに多くを依存している。

――いわゆるアカデミー(フランス人ジャンマルク・ギウーがASECアビジャンに創設
した育成機関。実質活動は6年間だったが、現代表にもトゥーレ兄弟など9人が名を連ねる)の黄金世代の選手たちも軒並み30歳を迎え、チームは高齢化が進んでいます。

イビチャ・オシム Ivica Osim
1941年5月6日、旧ユーゴスラビア生まれ。'90年イタリアW杯でユーゴスラビア代表をベスト8に導く。'03年にジェフ市原の監督に就任すると革新的なサッカーで注目を集め、'05年ナビスコ杯で優勝。'06年からは日本代表を率いたが、'07年秋に脳梗塞で倒れ辞任。'11年4月からボスニアサッカー協会・正常化委員会の委員長として、ボスニアの国際大会復帰のために尽力した。

「彼らはヨーロッパのあらゆる国に散らばり、トップクラブでプレーしている。その実績は侮れない」

――ドログバもこれが最後の大舞台でしょう。

「背中に重荷を背負って仕事を成し遂げる選手がいる。ドログバがそうだ。チームはとても多くを彼に依存している。プレーし続けたいと本人が望む限り、彼は危険な存在だ。

 だが恐れを抱く必要はない。彼らの問題は、どういう風にチームを構成するかだ。全員が自分こそ最高と考えている。そして最高の選手同士の間に必ず諍いが起こる。最も人気があり高給取りの選手への戦いが始まったら、チームは瞬く間に均衡を失う。しっかり分析して対応すれば引き分けは十分に可能だし、1対0で勝つことも日本はできるだろう」

<次ページへ続く>

【次ページ】 大きなポイントとなるのは……ギリシャ戦だろう。

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