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上原浩治の制球力。
~MLBで図抜けた「K/BB」「WHIP」~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byJamie Squire/Getty Images

posted2013/12/06 06:01

上原浩治の制球力。~MLBで図抜けた「K/BB」「WHIP」~<Number Web> photograph by Jamie Squire/Getty Images

日本でプレーしていた10年間でリリーフに専念したのは2007年の1年だけだったが、MLBでは見事にクローザーを務めている。

 2013年のワールドシリーズを制覇したのはレッドソックスだった。6年ぶり8度目の優勝。抑えの切り札だった上原浩治も大きく貢献した。5試合に登板して4回2/3を投げ無失点、2セーブを記録した。ア・リーグの優勝決定シリーズでは5試合で6回を投げ無失点、1勝3セーブでMVP。米大リーグに移籍して5年目、上原にとって'13年シーズンは素晴らしいシーズンになった。

 何しろ今年はレギュラーシーズンで73試合、ポストシーズンで13試合、年間86試合も投げている。登板試合数だけを見ても記録的なシーズンだったわけだが、投球内容を詳しく見ていくと、彼の特徴をよく出した上で、チームに貢献したシーズンだったと言える。

味方の守備力に左右されない「K/BB」で計る投手能力。

 上原の特徴とは何か。データの面から見ると、三振の数を四球の数で割った数値――最近の報道で、しばしば「K/BB」と表記される数値に最もよく表れている。三振が多く、四球が少ないほど大きな値になる数値だ。

 なぜ、この数値が重要なのか。それは「K/BB」が、投手の個人能力を判断するうえで見逃せないものだからだ。投手にまつわるデータというのは、投手個人の能力だけでなく、味方打線やバックの守備力に左右されるものが多い。勝利数は味方打線に依存しているし、防御率や被打率はバックの守備力に左右される。しかし三振と四球は、ほぼ投手の個人能力がそのまま表れた数字なのである。

 三振というのは、打たせて取るよりも、望ましいアウトの取り方だと言える。なぜなら、打球がフェアグラウンドに飛べば、どのような当たり損ねであれ、野手のいないところへ飛ぶ可能性があるし、野手のいるところへ飛んでもエラーの危険は常にあるからだ。

 そして四球が少ないほどいいことは、言うまでもない。なるべく三振が多く取れて、四球の少ない投手というのは、安定性の高い投手として注目すべき存在なのである。

四球を1個出すまでの間に三振を11個以上取っている!

●2013年米大リーグ セーブ・トップ10と上原浩治の投球成績比較
選手名(所属) 試合 回数 勝 敗 S 三振
――
四球
WHIP 防御率
(1)J・ジョンソン(オリオールズ) 74 70 1/3 3 8 50 3.11 1.28 2.94
     C・キンブレル(ブレーブス) 68 67 4 3 50 4.90 0.88 1.21
(3)G・ホランド(ロイヤルズ) 68 67 2 1 47 5.72 0.87 1.21
(4)M・リベラ(ヤンキース)    64 64 6 2 44 6.00 1.05 2.11
(5)J・ネイサン(レンジャーズ) 67 64 2/3 6 2 43 3.32 0.90 1.39
     R・ソリアーノ(ナショナルズ) 68 66 2/3 3 3 43 3.00 1.23 3.11
(7)A・リード(Wソックス) 68 71 1/3 5 4 40 3.13 1.11 3.79
(8)G・バルフォア(アスレチックス) 65 62 2/3 1 3 38 2.67 1.20 2.59
     S・ロモ(ジャイアンツ) 65 60 1/3 5 8 38 4.83 1.08 2.54
     A・チャップマン(レッズ) 68 63 2/3 4 5 38 3.86 1.04 2.54
(27)上原浩治(Rソックス) 73 74 1/3 4 1 21 11.22 0.57 1.09
※WHIP=1イニング当たりに出した走者の数

 この「K/BB」が5.0を超えると、注目の投球内容と言っていい。別表は今年の米大リーグ、セーブ数の上位10人と、上原の成績を比較したものだ。上原は開幕から3カ月近く中継ぎを務めていたため、セーブ数自体(21)は米大リーグ全体で27番目だった。しかし「K/BB」を見ると11.22で、セーブ数トップ10の選手たちと比較してもずば抜けて高い数字だ。これはつまり、四球を1個出すまでの間に三振を11個以上取っているということだ。

【次ページ】 リベラら並み居るクローザーの中でもずば抜けた数値。

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