Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<EXILEを支える男に聞く> パフォーマーHIROの肉体。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/12/04 06:00
ベストパフォーマンスを続けるための身体作りとは?
その過程で気づいたのが、多くの人の前で長時間パフォーマンスをするためには、踊りの練習だけでは足りないっていうことでした。ライブのクオリティ、密度が高くなればなるほど、体力も高めなきゃいけない。そこで、トレーナーさんについていただいて、本格的に身体作りに取り組みはじめたんです。
それまでは2時間ぐらい踊っていると、身体が酸欠になって動かなくなっていたんです。でも、トレーニングでしっかり追い込んでおくと、そこを乗り超えて3時間、最後までベストパフォーマンスが続けられるようになった。だから、心肺機能を上げるために、ランニングとエアロバイクを漕ぐスピナーという練習は日常的にずっとやってますね。
ただ、ダンスの場合、ずっと一定のペースじゃなくて、心拍数でいうとAメロ、Bメロは140~150で踊りながら、サビやソロのときはいっきに200ぐらいまで上がるという感じなんですよ。
だから、スピナーも一定時間全開で回して、心拍数をいっきに上げます。前は210ぐらいまで上げてたんですけど、いまは死んだらやだなと思って、205ぐらいにしてます(笑)。いろんなトレーニングの中でも、スピナーはいちばんきついですね。自分との戦いっていうか、なんともいえない“つれぇ~”という感じなんです。でも、これをやるようになってから、本番でのスタミナは飛躍的に上がりました。
僕たちのダンスのスタイルって、一瞬の切れ味が命。
僕らのやっている踊りのスタイルって、一瞬の切れ味が命なんですよ。野球のピッチングでいえば、ワインドアップじゃなくてクイック。大きく予備動作をつけて動くんじゃなくて、一瞬でガッと加速して、ピタッと止める筋肉の使い方なんです。そのメリハリによってキレが出てくる。逆に止めるところで少しでもダラッとしちゃうとカッコ悪くなる。
そういったキレのいい動きをするには、手脚よりも、やっぱり体幹を鍛えるのが大事です。とくにお尻まわりの筋肉を強化してからは、下半身が安定して、上半身の動きも楽になりました。スライドボードという道具に乗ってアイススケートのように足を横に滑らせるトレーニングがあるんですけど、これをやってからは明らかに筋持久力が上がって、ライブでも最後までバテなくなりました。それでまたひとつ上のレベルに上がれた感覚ですね。