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NHK杯を制した高橋大輔の威風堂々。
ついに日本のエースが帰ってきた! 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byAP/AFLO

posted2013/11/11 11:15

NHK杯を制した高橋大輔の威風堂々。ついに日本のエースが帰ってきた!<Number Web> photograph by AP/AFLO

スケートアメリカの後、モロゾフコーチらと徹底的に話し合って、自分を追い込んだという高橋。「気持ちの面でオリンピックに出て自分自身がどうしたいのか……ということをもう1回考え直したんです」と語っている。

 日本のエースが戻ってきてくれた。日本中のスケートファンが、そう安堵のため息をついたことだろう。

 スケートアメリカでは、驚くほど不調な演技で4位に終わった高橋大輔。彼らしくないジャンプミスが出て、本人も原因がわからないと当惑の表情を見せていた。

 このままではGPファイナル進出どころか、五輪代表も危ういのではないか。周囲のそんな不安の声を見事きれいに拭い去る、NHK杯の優勝だった。

 宮本賢二振付によるSP「バイオリンのためのソナチネ」では、冒頭の4回転トウループが気持ちよく決まった。そのまま良い流れを保ち、3アクセル、そして3ルッツ+3トウループのコンビネーションも軽々と着氷。ステップシークエンスは体全体を大きく使って情熱的に滑りきった。ようやく見ることのできた高橋大輔らしい演技に、国立代々木競技場に集まった観客たちは熱狂的なスタンディングオベーションをおくった。

高橋が歴代2位となるSPスコアの95.55!

 95.55という得点が出ると、大きな歓声があがった。94.00の自己ベストスコアを1.55上回り、歴代でもパトリック・チャンに次ぐ2位の高得点である。それでも本人には笑顔がなかった。

「久しぶりに会心と言える演技ができた。でもまだフリーが残っていますから、気を引き締めていきます」と会見で語った。スケートアメリカの後、どのように気持ちを切り替えたのかと聞かれると、「あまり深く考えすぎないようにして、がむしゃらに練習をしてきました」と答えた。

ウォームアップで転倒するも、本番で4回転を。

 翌日のフリーは、ローリー・ニコル振付によるビートルズメドレーである。「イエスタデイ」のメロディから始まる、彼のスケート人生を描いたプログラムだという。

 演技前の6分間ウォームアップでは、4回転で転倒してファンたちをハラハラさせた。最終滑走の高橋がリンクの中央に出てくると、「大ちゃん、頑張れ!」という声援があちこちから湧き上がる。観客席は彼の応援グッズである“D1SK”と書かれたタオルと日の丸で埋まっていた。

【次ページ】 日本のエースらしい風格ある演技。

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