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葛飾区が産んだ「昭和の2大スター」
両さんと寅さんに、教わったこと。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2010/12/18 08:00

葛飾区が産んだ「昭和の2大スター」両さんと寅さんに、教わったこと。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

 九州で育った私は、少年時代、東京の葛飾区というのは、浅草とか上野の隣あたりにあるのかと思っていた。特に「下町」というものについては、まず葛飾! いや、浅草? というくらいの認識だったと思う。

 もちろんその認識は全然正解じゃないんだけど(そもそも区名と町名という地名のカテゴリーからして違う)、田舎の少年にとっての東京下町のイメージなんてそんなものだ。

 葛飾北斎という教科書に出てくるような浮世絵の偉人がいたことも、葛飾という名前の江戸度、すなわち東京下町度、ひいてはメジャー度に影響したのかもしれない。

葛飾柴又は、どんな「下町」?

 ところが葛飾、大学時代に知って驚いた。上野や浅草からみるとあまりに遠い。街の括りとしては、ひとことでいって「東京の中の田舎」である。

 そういえば思い出したシーンがある。

 映画「男はつらいよ」のかなり早い段階(シリーズ4作目)で、寅さんのおいちゃんとおばちゃんがハワイ旅行のために羽田空港に行くことになった。例によってのドタバタ劇の末に、おばちゃんが「羽田は遠いねぇ、千葉ならすぐ近くなのにね」と漏らすシーンだ。

 私は子供心に「ふーん、そんなもの?」と思ったのだが、そうなのだ。江戸川を越えると、もうそこは千葉県松戸市。これは「葛飾は都心ではないよ」という一種のメッセージ(?)だったのである。

 ということで、その葛飾に行こう。

 東京23区の中で、独特の存在感を示す葛飾には、主役が二人いる。もちろん一人目は件の寅さんだが、私あたりの世代より下、特に若い世代にとっては、もうひとりの主役の方がもはやメジャーだ。

 警視庁葛飾警察署、亀有公園前派出所勤務の警察官、両津勘吉、通称・亀有の両さんのことである。

銀杏並木に彩られた「輝く東京」。

 初冬の東京は美しい。

 真っ青な空の下、自転車で走ると、空気は澄んでるし、銀杏の黄色が目にまぶしい。いったいにこの国の人々は、桜の季節に桜を愛でるが、秋の銀杏はそれほどでもない。旬が長いからかな。または実が臭いから?

 でも、こうして見ると、桜に勝るとも劣らないよ。この存在感と、輝くばかりの黄金色の美しさは。

 その黄金色に囲まれた国会議事堂前を通り、皇居の前を通り、もう東京のどこからだって見える東京スカイツリー(いつの間にやら500mを超えてしまった)をめざしてまずは浅草、業平橋へ向かう(このあたりは本連載第2回スカイツリーの項を参照していただきたい)。で、そこから国道6号線に沿って、路地を入りつつ、川を渡りつつ、北上していくわけだ。

【次ページ】 「こち亀」の両さんが、「よっ」と迎え。

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