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コミッショナー交代で、
注目される後継者の手腕。
~NBAトップに吹く新たな風~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/10/13 08:00

コミッショナー交代で、注目される後継者の手腕。~NBAトップに吹く新たな風~<Number Web> photograph by Getty Images

スターン(右)からバトンを継いだシルバー。海外拠点のチーム設立も検討しているという。

 NBAは変化し続けるリーグだ。この夏も半数近くのチームがヘッドコーチを入れ替え、何人ものオールスター級の選手たちがチームを移った。移転の可能性があったキングスはサクラメントに残留したが、オーナーが交代した。ニューオリンズのチーム名はホーネッツからペリカンズとなった。今夏に限らず、変わることを恐れないリーグなのだ。

 その中で、長年不動の存在だったのがコミッショナーのデビッド・スターンだ。'84年2月にコミッショナーに就任してから30年間リーグを率い、一癖も二癖もあるオーナーたちをまとめ、23チームのリーグを30チームのリーグに拡大させた。この間に選手の平均年俸を33万ドルから530万ドルに増やし、プライドの高い選手たちからも「世界最高のコミッショナー」と賞賛される。そして何よりも、年間収益約43億ドル規模の、世界的な人気リーグを築き上げたのだ。

シルバー政権でも“安定的な変化”を続けられるか。

 そのスターンが来年2月1日、コミッショナー就任30年を機にトップの座を退く。去年10月のオーナー会議で引退の意思と時期を告げ、直後に現副コミッショナーのアダム・シルバーが後継者に選ばれた。正式発表から15カ月という時間をかけた、NBAとしてはゆったりしたテンポでの移行だ。スターンはそれ以前からシルバーの役割や責任を少しずつ増やしており、実際は7、8年かけ、万全を期しての移行と言ってもいい。スターン自身、コミッショナーとしての実績の中でも後継者への引き継ぎは特に成功したことのひとつだと自負する。

 スターンは低迷するリーグを成功に導いた後も現状維持で満足せず、常に新しいことに挑んできた。片や順風満帆な状態でコミッショナーに就任するシルバーは、今後スターン路線を引き継ぎながら、少しずつ独自色を出していくことになる。

 柔和な笑顔の奥で眼光鋭く、独裁的な一面も持っていたスターンに比べて、シルバーは周囲に協力を求め、橋渡しをしながら率いるタイプだという。

「時代は変わり、オーナー達も以前よりスポーツビジネスに詳しくなってきた」とシルバーは言う。「彼らの豊富な専門知識に頼ることができるのは好運だ」

 スターン時代のような“安定的な変化”を続けることができるか。それがシルバー政権の成功の鍵となりそうだ。

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