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生まれ故郷で初優勝を――。
斎藤隆43歳、魂のマウンド。
~東北に歓喜呼ぶ、楽天での力投~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/09/21 08:00

東北高、東北福祉大を出た筋金入りの仙台育ち。9月18日現在、26試合に登板し3勝4S。

東北高、東北福祉大を出た筋金入りの仙台育ち。9月18日現在、26試合に登板し3勝4S。

 チームが初優勝する時には、必ずと言っていいほど、優勝経験を持つベテランが支柱になっているものだ。

 今季の楽天には、野手では松井稼頭央、投手では斎藤隆というメジャーでも戦った2人の優勝経験者がいる。特にラズナーが故障で戦列を離脱し、青山浩二が不安定な投球を続ける中、抑えの代役を果たしている斎藤の存在は大きい。

 昨年末、斎藤が8年ぶりに日本球界に復帰し、楽天入団が決まった際、「メジャーでもまだ十分にやれるのでは」と聞いたことがあった。その時、斎藤はこう答えた。

「生まれ育った故郷で野球がやれることが大きかった」

 宮城県出身の選手の一人として、'11年の大震災の時、アメリカにいて何も出来なかったという悔いがずっと残っていた。だから楽天から誘われたとき、条件など二の次に、気持ちに素直に従った。

 しかし今季が開幕すると、中継ぎとして結果を残せないまま、太もも裏を痛めて5月18日には二軍に降格。治療をしながら耐え忍ぶ日々だったが、ここで斎藤は若手の範となってきた。

6月以降の安定感を買われ、現在はクローザー役に。

「人より早くグラウンドに出て、黙々と調整しているし、若い選手にも聞かれればキチンとアドバイスをしてくれる。メジャー7年は伊達ではない」

 と感嘆したのは、佐藤義則投手コーチ。

 そして再び一軍に復帰した6月以降は、7月25日のソフトバンク戦での失点を最後に11試合連続無失点と、チームの快進撃に大きく貢献している。8月24日のロッテ戦で初セーブを上げると、その後は右肘痛で離脱したラズナーの後釜として、抑えも任されているのだ。

 後半戦直前の7月半ば、楽天ナインが焼肉屋で決起集会をした際も、43歳の斎藤が、若い投手の間に入ってビールの酌をして回ったという。

「今は故郷に恩返しをするためにも、魂を込めてマウンドに立っている。あと何年やれるかわからないけれど、こういうチャンスなんて滅多にあるものじゃない。だから、ここでやらなければいつやるんだと周りには言っています」

 同学年の阪神・桧山進次郎が引退を発表する一方で、優勝を目指し、故郷で戦える斎藤は、この上ない幸せを感じながら投げているのかもしれない。

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